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第44話

「我慢できない……挿れて……触って……」  自分でも何を言ってるのかよくわからなくなってきた。諒大とこんなことをしてはいけないと思うのに、欲望に抗えない。気がつくと諒大に手を伸ばしている。 「諒大さんがほしい……」  颯は諒大の股間を手でスリスリと撫でる。諒大のそこは、スラックスを履いていてもはっきりわかるくらいにガチガチに勃ち上がっている。  諒大のそれで思い切り貫かれたい。一秒でも早く、今すぐ諒大と繋がりたい。 「お願い、お願いっ……」  熱にうなされて、大量のフェロモンを浴びて理性なんてとっくに吹き飛んでいる。  諒大と早くエッチしたい。大きなモノでオメガの蕾をこじ開けて、身体が壊れそうなくらいに最奥を突いてほしい。アルファの精液を遠慮なくこの身体に放って、うなじを噛んでほしい。  諒大と番になって、永遠に結ばれたい。 「それはしません。ダメだって約束でしょ。俺はあなたの恋人でもないのに」  苦しそうな顔で諒大が颯の手を退けた。 「じゃあ恋人になるっ。そしたらいいのっ? なるから挿れてっ」 「バカな……あんなに俺から逃げ回ってたくせに……」 「好きっ、好き、諒大さん! 諒大さんは? 僕のこと好き? 好きって言って!」 「……好きです」 「じゃあ恋人になろ? そしたら挿れてくれるでしょ?」 「俺の気持ちも知らないで、軽々しく好きだなんて言わないでください」 「噛んでっ、噛んで……りょーたさんがいい……りょーたさんの番になるっ」 「ならないって自分で言ったでしょ……」 「じゃあキスっ、キスして……」  颯が欲しがると、諒大は颯の身体に覆い被さるようにして濃厚なキスを与えてくれた。 「んんっ……んんっ……! りょーたさ……」  必死で諒大のキスを享受する。  足りない。アルファの体液が足りない。もっとほしい。特に、颯の最奥に、アルファの精液をたっぷりと注いでもらいたい。  諒大が意地悪をして颯の後孔を触ってくれないから、そこがムズムズして熱が収まらない。 「はぁ…ん……っ」  諒大が弄ってくれないならばと颯は自分の指を後孔へと近づける。諒大に淫らな姿を晒すことになっても、中をかき回したくて仕方がなかった。 「ああっ……! クソッ! 俺がやりますっ」  足を広げてアナニーしようとする颯の指をどけて、諒大が代わりに後孔に指を突っ込んできた。すっかり濡れたオメガの蕾は呆気なく諒大の指を呑み込んでいく。 「あっ、あっ、すごい……そこ、気持ちいい……」  颯の中でうごめく諒大の指がたまらなく気持ちいい。諒大の指で弱いところを擦られただけで颯は吐精する。 「諒大さん……りょーたさ……」  指だけでこんなに気持ちがいいのに、諒大の大きなモノをここに挿れられたら……。 「諒大さん、挿れてっ、番に、番になるからっ」  颯は淫らに男を誘う悪いオメガみたいだ。アルファがほしくてたまらない。  諒大と繋がるためならなんでもする。もっと、もっと快楽に溺れたい。ヒートの身体を思い切り抱いて、貫いてほしい。 「指で我慢して。それにそんな色っぽい顔で誘惑しないで……」 「あっ、あっ、いいっ」  諒大に中をかき回されると腰の奥から快感が押し寄せてくる。それがたまらなく気持ちよくて颯は腰をくねらせた。 「諒大さん。早く挿れて……もっと気持ちよくして……」  颯は、まともに考えることなどできなくなっている。 「番にして。挿れて、噛んでほしいっ……」  もうろうとする中、諒大にうなじを見せつける。  諒大のことが好きだ。大好きだ。後先なんて考えずにさっさと繋がってしまいたい。 「はぁっ……はぁっ……絶対にしない。番になってたまるか!」  諒大の様子がおかしい。獲物を狙う獣みたいなギラギラした目をして、強烈なアルファのフェロモンが部屋中に満たされていく。 「ゔあぁぁっ!」  諒大が颯のうなじに歯を立てる。腰を揺らして勃ち上がった股間を、挿入するときみたいに颯の後孔に擦り付けてくる。  ラットだ。諒大はヒートのオメガの強烈なフェロモンに当てられてラットを起こしている。 「くっ……!」  諒大は動きを止めた。頭を抱えて苦しげに荒い息を吐いている。  諒大から大量のフェロモンが発せられる。その匂いに当てられて颯の動悸がひどくなり、一生懸命呼吸を意識していないと息ができなくなる。 「颯さんっ……!」  諒大は自らの左腕に噛みついた。フーッフーッと息を荒げて、ラットに必死に抗っている。  諒大の腕から血がしたたり、その血液が颯の首筋にこぼれ落ちる。相当強く腕を噛んだようだ。 「颯さんと約束したんだ。絶対に番になってたまるか!」  諒大は近くにあったタオルを取り、自らの口に噛ませ、首の後ろでタオルを縛った。 「フーッ! フーッ!」  荒い息づかいの諒大は、背後から颯を抱きしめ、颯のモノを手で扱く。  颯に襲いかかりたい気持ちを理性で押し込めて、颯を気持ちよくさせようとしているのだ。 「あっ、あぁんっ……! またイっちゃう。諒大さ、諒大さんっ!」  諒大は颯が疲れ果てて眠ってしまうまで、颯を抱きしめ、何度も何度も欲を吐き出させてくれた。

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