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第60話 最高の一日

 結論から言うと、ふたりは早速、離れ離れになった。  諒大のマンションに到着してすぐにバスローブを手渡され、「シャワー浴びますか?」と諒大に声をかけられた。  言われるがまま颯はシャワーを浴びて、下着も履かずにバスローブに身を包み、諒大のベッドに潜り込んでいる。 「どうしよう、諒大さん早く来て……」  今は交代で諒大がシャワーを浴びている。この諒大を待っている時間、抱かれる気満々で諒大のベッドにいる自分自身が気恥ずかしくなってきた。  気を紛らわすためにスマホをいじってみても、まったく内容が頭に入ってこない。何をしていても落ち着かない。  ガチャリとドアが開く音がした。と同時に、颯は頭から布団の中に隠れる。  今さらになって、ベッドじゃなくてリビングのソファーとか、あんまりエッチな雰囲気じゃないところにいればよかったと後悔する。ベッドにいるなんて、さっさとしたいですと言ってるようなものだ。  ——足音が近づいてくる。  ギシリとベッドが軋む音が聞こえ、ベッドが揺れた。 「捕まえたっ」 「わっ!」  布団の上から諒大に抱きしめられ、颯は声を上げる。 「クローゼットに隠れてたと思ったら、今度はベッドの布団の中ですか。俺はこの家で、いつも颯さんとかくれんぼしてる気持ちになります」 「あは……は……」  見つかってしまったので、こっそり布団から顔を出すと、そこにはバスローブ姿の諒大がいた。  少し濡れたブラウンの髪。少しはだけた胸元。バスローブの裾から見える諒大のセクシーな太腿。  諒大はやっぱりかっこいい。アルファの中のアルファ、最上級アルファだ。 「みーつけたっ!」  諒大は笑顔で颯の顔を覗き込み、颯の黒髪をそっと撫でてきた。 「見つけた。俺の運命の番」  颯のくるまっていた布団の中に、諒大も入ってきて、今度は布団の中で直に抱きしめられる。  はだけたバスローブの隙間からのぞく足と足を絡ませる。諒大との素肌の触れ合いに、颯の腰が何かを期待して淫らに揺れる。  諒大の胸に頭を寄せると、すごくいい匂いがする。颯の大好きな諒大のフェロモンを感じる。 「いい匂い……」  遠慮なしにクンクン匂いを嗅いでいると、諒大が「ごめんなさい」と謝ってきた。 「今夜はアルファ抑制剤を飲んでません。つまり、そういう意味ですが、颯さんのこと抱いていいですか……?」  諒大は、ためらいがちに颯の額に口づけする。 「は、はい……ふつつか者ですがよろしくお願いします……」  颯の胸がドキドキと高鳴っていく。自分はこれからこの人に抱かれるんだと、颯は諒大とこれからすることを想像しただけで急にフェロモンをブワッと放ってしまった。 (恥ずかしい……!)  フェロモンを出すなんて、諒大を誘っているのも同然だ。颯は、羞恥に耐えきれずに、紅潮した顔を諒大のバスローブの胸元に顔を突っ込んだ。 「可愛い。颯さんは本当に可愛い人です。大好きだ……」  諒大は颯のつむじにキスをしたあと、丁寧に颯の髪を撫でる。その優しい手の温もりが、颯の緊張を解かしていく。 「俺も。ふつつか者ですが、颯さんと一緒にいたい。今度こそあなたを守れる男になりたい。俺にもう一度チャンスをください」  颯が顔を上げ「僕も——」と言いかけたとき、諒大の唇で口を塞がれた。それから流れるように行為が始まった。 「あっ、あっ、はぁっ……ん……っ」  バスローブの中、颯の肌を撫でる諒大の熱い手が颯を高ぶらせていく。  気持ちがいい。もっと触れてほしい。諒大にもっと近づきたい。 「諒大っ、諒大さんっ……」  颯も諒大を求めて手を伸ばす。諒大の気持ちのいい滑らかな肌に触れると、諒大もそれ以上の熱量で颯を求めてくる。  オメガの身体はそれだけであっという間に熱を持つ。今すぐ番えと訴えているように、ヒートでもないのにうなじが熱くなった。 「俺やばい、今、すごく興奮してます……」  諒大が膝を入れ、颯の脚を開かせて、颯の後孔に触れる。オメガのそこは少しの愛撫ですでに濡れていて、それを諒大に触れられたことで知られてしまい、とても恥ずかしい。 「颯さんも興奮してくれてるんですか」 「ご、めんなさい……だって、相手が諒大さんだから……」  好きな人に触れられるとこんなに気持ちのいいものだと、諒大に出会って初めて知った。 「俺なら、いいんですか?」 「はい……諒大さんの手、気持ちいい……」 「俺だけが、颯さんの特別?」 「うん。諒大さんだけ」  颯が諒大の唇に返事代わりのキスをすると、諒大の身体がぴくりと反応した。 「俺も。こんなに欲情するのは颯さんだけ。はぁっ……さっきからあなたが可愛くて、仕方がないです」 「あっ、あっ、あぁーーっ!」  颯の後孔に諒大の指が入ってきて、颯は快感にビクビクと身体を震わせる。諒大に敏感な粘膜を弄られて、良すぎて入り口から漏れるくらいにオメガの愛液が溢れだしてくる。 「あっ、あっ、りょーた、りょーたさんっ」  恥ずかしいのに、みっともないと思うのに、諒大に触れられるたびに颯の身体はそれを感じ取り、淫らに腰が揺れてしまう。

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