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第62話
「あっ……ごめんなさいっ」
汚れた身体を諒大が綺麗に拭いてくれる。颯は疲れて脱力しているだけなのに、諒大は優しい。
「ごめんなさい、ごめんなさいって、たまにはありがとうって言ってもいいと思います」
諒大は颯の唇に軽くキスをしてから、颯の髪を撫でた。
「ごめんなさい……あっ!」
颯は口をつぐむ。昔からすぐにごめんなさいと謝罪の言葉を口にしてしまうのは、颯の口ぐせみたいだ。
「可愛いな、颯さんは」
諒大も颯のすぐ隣に転がって、そのまま颯を抱きしめてきた。颯も諒大に身を寄せて、ふたりベッドで抱き合う。
(ああ……このまま寝たらすっごいいい夢見れそう……)
颯は最高の気分だ。諒大とこうして朝を迎えられるなんて、幸せでしかない。
「諒大さぁん……」
颯が諒大の匂いを感じながら、ウットリして目を閉じたときだ。
「颯さんっ!」
「ングッ!」
諒大がキスを求めてきた。しかも、濃厚なキスを。
「颯さん、そろそろ休憩はおしまいにして第二ラウンドしましょうか」
「いいっ!?」
完全に油断していた。てっきり、さっきの濃厚エチのあと、諒大は賢者タイムに突入し、ちょっとだけ甘い甘いピロートークを楽しんだあと、眠りにつくものとばかり思っていた。
「颯さんに触れただけで、俺、もうこんなになってます」
諒大が腰を颯の足に擦り付けてきた。そこに当たったモノの感触でわかる。諒大のソレは臨戦体制、めちゃくちゃ元気いっぱいだ。
「今度はもう少し激しくしてもいいですか?」
「え! アレ以上っ?」
びっくりして思わず声がうわずってしまった。でも、諒大のキラキラと期待に満ちた瞳で見つめられて「あの、さっきので僕は十分満足しましたよ」とは言い出せない。
「はい。颯さんをもっと感じたい。あなたと心も身体もずっと繋がっていたいんです」
もっともらしいことを言いながら、諒大は颯の下半身に、自らの欲望を押し当ててくる。
「俺、アルファですよ。俺は颯さん以外の人とは関係を持ちません。だから俺を全部受け止めてもらえますか? そのあたり、覚悟してくださいね」
諒大はシュルッと自らのバスローブの腰紐を解き、バスローブを脱ぎ捨てた。諒大の男らしい身体つきがあらわになる。
いつもスーツを着込んでいるので目立たないが、諒大は実はものすごくいい身体をしている。
厚い胸板に、バッキバキの腹筋。ケンカも強いし、格闘技か何かをして日々鍛えているのかもしれない。
やばい。
完全にやばい。
颯がヘロヘロになったさっきの行為は、アルファの諒大にとってはウォーミングアップ的な感覚なのだろうか。
「颯さん。もっと気持ちよくなりましょうね」
「あっ……!」
まったく遠慮のない諒大の手が、颯の下半身に伸びてくる。
「嘘でしょ、諒大さ……んんっ!」
文句を言おうとしたら、その口を諒大のキスで塞がれる。しかも諒大はアルファのフェロモンを惜しげもなく出してくるから、颯は抗えない。
「好きです、颯さんっ!」
「うあ……っ!」
ベッドの上、うつ伏せに諒大にのしかかられ、今度はバックで諒大に挿れられる。
「あっ、あっ……! うそっ、……あぁんっ!」
その夜、諒大は止まらなかった。アルファの精力はすごいと聞いたことがあったが、まさかひと晩中、諒大に泣かされることになるとは思いもしなかった。
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