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第81話
「噛んでも、いいですか?」
「あっ……」
諒大に言われて気がついた。ヒートは番になるための機会 だ。
「式を挙げるまで、籍を入れるまで嫌だというなら俺は待ちます。噛まずにあなたの欲 を発散させてみせます」
諒大の迷いのない瞳が颯に向けられている。颯のわずかな仕草も見逃さないと言わんばかりの視線だ。
諒大ならラットを起こしても、颯のうなじを噛んだりしない。それは、前回のヒートのときにこの身をもってわかった。諒大ならどんなに狂おうとも、本能に負けることはない。絶対に颯を傷つけたりしない。
でも、もうあんなことをする必要はない。
最近、諒大以外のアルファの視線が怖くなった。いきなり襲いかかってくることはないとわかっているのに、ここまできて、諒大ではないアルファに襲われて番にされたら終わりだと怯えるようになった。
諒大と番になれたなら、そんな不安を抱える必要がなくなる。
諒大が唯一無二の存在になる。今だって心は諒大しかいないと思っているけれど、それがはっきりと、誰が見てもわかるようになる。
「噛んで……」
颯は視線を上げ、諒大を見つめる。
「諒大さんの番になりたいです。今すぐ、あなたのものになりたい……」
颯が上に伸ばした手は、諒大の頬に触れる。颯が諒大を求めると、諒大はゆっくりと颯に覆い被さってきた。
「俺も。あなたと番になりたい。俺には颯さんしかいないから」
諒大との行為は甘い甘いキスから始まった。
愛撫しながらお互いの衣服を脱がせ合って、全部をさらけ出した姿でフェロモンを絡み合わせる。
諒大に前でも後ろでもイかされたあと、ベッドにうつ伏せの姿勢にさせられた。
「颯さん、お尻を突き出して」
諒大が颯の腰を掴んで突き出させ、颯の足を開かせる。
発情期の颯の後孔は、オメガの愛液で濡れていてる。足を開いたことで溢れた愛液がつーっと足を伝う。
さっき達したはずの颯の屹立は、卑猥なポーズをとらされたことに興奮して、再び反応を示してきた。
「諒大さ、あんま、見ないで……っ」
恥ずかしいところに諒大の視線を感じて、颯は羞恥に身悶える。
「すみません。でもダメだ。こんな淫らな颯さんを見るとたまらない……」
艶めかしい大きな手が颯の尻を撫で、その双丘に諒大はキスをする。
「や……そんなとこ……っ」
「可愛い。愛してる。愛してます……」
颯が身をよじっても、諒大は颯の身体にキスを繰り返す。諒大のキスは腰から背中と次第に上にあがってきて、颯のうなじに何度もキスをした。
「颯さん、挿れていい……?」
「あっ……!」
諒大は颯の後孔に、自らの興奮したものを押し当ててきた。
ああ、これから諒大と繋がるんだと颯の身体は期待で震え、オメガの蕾がひくつくのがわかった。そこに諒大を迎え入れたくて、早く気持ちよくなりたくて、颯は自ら足を開く。
「挿れて、諒大さんと早く繋がりたい……」
颯が欲しがると、性急に諒大がオメガの蕾をこじ開けるように屹立を突き立ててきた。
「ああぁっ……! あぁっ、くっ……う……」
諒大のものは大きすぎる。あんなものがここに入るとは思えないのに、ヒートで高ぶったオメガの身体はそれを呑み込んでいく。諒大に絡みつくように内壁がうねり、じわじわと快感を与えてくる。
「あっ、そこっ、だめ……よすぎるの、弱いっ、弱いから……っ」
颯がビクッと過剰に反応すると、意地悪な諒大はわざとそこばかり攻めてくる。
「ヒートだからっ、あっ、やめてっ。ほらまたイくっ、イっちゃう、イっちゃう……!」
いくらヒートとはいえ、こんなに達してばかりいたら、諒大に淫乱なオメガだと思われてしまう。そう思うのに、諒大が動くたび腰の奥から絶頂の波が襲いかかってきて、耐えられない。
「イって。気持ちよくなって。いっぱい出せば、身体が楽になりますよ」
「ああっ、ウソっ!?」
諒大が颯の前に手を伸ばしてきた。熱い手で包み込まれるようにソコを扱かれると、電流のような強い快感が足の先から脳天まで駆け巡った。
「俺にだけ見せて。エッチな颯さん、すごく魅力的です」
「あんっ……! あっ、あっ、あぁぁあーっ!」
颯は身体をわななかせ、絶頂を迎えた。異常なくらいに足先がピクピク動いて、腹の奥がきゅうきゅう締まる。
「はぁっ、はぁ……っ! 颯さんっ! 颯さんっ!」
「あっ、だめっ、イッたばかりだからっ……」
達したばかりなのに、諒大は颯の身体を一心に求めてくる。この敏感な身体を攻められたらひとたまりもない。
「やばい。気持ちいい……はぁっ……くぅぅっ……!」
だが、颯が訴えても諒大は止まらない。止まるどころかアルファのフェロモンを大量に早くに浴びせてきた。
「あっ、あっ、待って、諒大さんっ、諒大さんっ」
達したばかりで身体が敏感になっているのに、媚薬のようなフェロモンを大量に浴びて、全身がさらに熱をもつ。
「あぁっ……! おかしくなるっ、おかしくなるぅっ!」
悲鳴にも似た声で喘ぐ。快感が強すぎて、声を我慢なんてしていられない。
「颯さんっ、颯さん……っ!」
「あっ、らめぇぇぇ……っ。りょた、りょーたさっ……っ!」
いくら諒大に訴えても、まったく聞き入れられない。諒大は颯の身体を遠慮なしに貪っている。
「はぁっ、たまらないっ、颯さん……颯さんっ……!」
諒大はラット状態に陥ったのだ。本能のままに颯の身体を犯し、愉しむ諒大は、まるで大型の獣みたいだ。
「噛みたい噛みたい噛みたい噛みたい……!」
「い……っ!」
颯のうなじに諒大の歯が突き立てられる。獲物を喰らう猛獣みたいに颯に襲いかかってくる。
「噛んで、諒大さん……」
颯はうなじを諒大に差し出す。
「諒大さん、大好き。大好きだから噛んでぇ……っ!」
颯がそう言うと、諒大の身体がピクリと反応した。
途端、諒大が思い切りうなじに噛みついてくる。
「あぁぁぁーーーっ!」
鋭い痛みが颯のうなじにはしる。不思議とその痛みは不快なものではなく、ビリビリとした電流がはしるような感覚のあと、身体中の遺伝子が入れ替わるみたいに全身が熱くなる。
「はっ、はぁっ……! 諒大、諒大さんっ!」
噛みついたままの、諒大の激しい抽挿を颯は必死で受け止める。
「あぁぁっ……」
颯の中にある、諒大のモノが一段と大きくなったのがわかった。
うなじから歯刃を離した諒大は、凶器みたいな屹立で、颯の最奥を何度も突いてくる。
ガクガクとゆさぶられ、強すぎる快感から逃げる身体を、諒大が颯の両腕を掴んで押さえつけてくる。
「あっ、そんな、奥っ、だめ、あたまおかしくなる……っ」
「好きだ。好きだ……っ!」
「あ、あ、あぁぁぁーー……っ!」
最奥を穿たれ、下腹の奥から凄まじい快感が押し寄せてくる。耐え切れるわけがなく、颯は自らの屹立から勢いよく白濁を解き放った。
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