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第13話

五限目開始の予鈴、つまり昼休憩終了のチャイムと同時に強制終了となった、仁義無き出汁巻争い。 俺は断固、納得がいかなかった。 勿論、出汁巻ごときに本気になっていること、俺の出汁巻なのに俺の意見が完全無視なことへの異論はある。 だが俺が気になっているのは勝敗のつけ方についてだ。 名門の進学校ではなく秀でた部活がある訳でもない青蘭高校は、全校生徒およそ1200人と人数だけはそこそこ多い。これは都内の男子校でも中々の生徒数だと思う。 しかし、流石ノット名門校というべき点が一つ。 この私立青蘭高校、毎年入学する人数が大きく違うのだ。 有名校ではない為受験者が多い時はなるべく人数を取りたいらしく、他の私立の人気や、その年の子どもの数などにガンガンに左右される。 今年の学年別クラス数は、3年は11クラス。2年も11クラス。でも、1年は10クラス。加えて、1クラスの人数も千差万別。 もう本当に適当だよね。こんなだから、創立60年は超えてるのに、信頼されないんだよ。 と、俺の愚痴は置いておいて。 皆さん、おわかりいただけただろうか。 お馬鹿さん二人は学年別の総合順位で争っていたが、そもそも分母の数が違うのである。比べようにもこのままじゃ、勝ち負けにならない。 5限目の間、どうしても気になって仕方が無かった俺は、授業終了後に教師にあることを聞くことにした。 ――――――― ―――― ― 放課後、教卓の前に二人を着席させて、俺はチョークを手に取る。 片や今にも走り出しそうな小型犬、片や真っ白に燃え尽きたボクサー。 ………なんか、今更ながら冷静になってきた。 俺は何に駆り立てられて、自ら行司になろうとしてるのか……。いや!考えたら負けだ。考えたら負けだぞ、俺!! 「昼休の時に言ってた、お前らの戦いだけど。あれ、実はまだ決着がついてません。お馬鹿でも分かるように丁寧に解説するから、ちゃんと話を聞くように。」 二人揃ってハテナを飛ばして、それでも何となく大事な話だと分かっているのか、こくこくと頷いている。 懇切丁寧に、解説すること約10分。漸く事態を把握してきた二人。 瀧藤は再び燃え上がり、安達も負けるわけにはいかないと固唾を飲んで俺の話を聞いている。 「ということで、俺が責任を持って二人の順位を公平に比較してみました。」 態々、わざわざ!俺が職員室に行ってまで、調べたのは学年別の在校生の数。 それさえ分かれば、この勝負になってない勝負を、成立させられる。 2年生の人数438人に対し、瀧藤は292位。つまり、下から3分の一の順位。 1年生の人数411人に対し、安達は274位。つまり、下から3分の一の順位。 そう、この勝負は、引き分け。

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