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第3話

「はわぁ~~~~~~~。」 慌てて安達を席に戻すと、ぐたぁ~っと机に伏せてしまった。本当に茹でた蛸みたいだ。 こんな安達を見るのは初めてで、戸惑ってしまう。 「見事に真っ赤だなー、安達。」 「なんかごめん。無意識に抱きしめてたみたい。」 「んんんんん!!ちょ、っと先輩黙ってて!」 目の前に小さい手の平を突き付けられ、驚く。 あ、謝るのも駄目なの!? どうすればいいのか分からず、取り合えず被害者の言いつけを守ることにした。 「お前、初対面で襲えるのにこれは恥ずかしいんだ。」 「自分からするのと、相手からされるのは、全然違うんです!」 二人が小声でコソコソしているが、ちょっとだけ傷ついてしまった俺にはどうでもいい。 ぼうっと面白みもない窓の外を眺めていると、それで、と瀧藤が話し始める。 「なんでか分かったか?」 「あ~うん。多分?」 「聞きたい!聞きたいです!!」 がばりと体を起こした安達が元気よく手をあげる。 余程知りたいのか期待の目線を送って来るので、明確な答えではないことを先に伝え、俺は口を開く。 瞬間、騒がしかった店内が静まり返った。 「ん~、安達の首から良い匂いがして、声も良くて、後は抱き心地が抜群に良いから、かな。」 「「!!」」 眠気で掠れた俺の声が響く。 「あ。安達の服抱きしめて、安達と電話、というか声聞けたら寝れるかも。」 「「!!!!」」 すると見ている間に二人の顔が赤くなり、 「ばっか!誰が惚気ろって言った!!」 「先輩っ!そんなに俺のこと!!」 「え、なに。どうしたの二人とも。」 堰を切ったように二人のマシンガントークが始まった。 「おまっ、あれで惚気じゃないっていうなら、何なの!お前はフェミニストなの!?」 「やめろ。勝手に変態にするな、コラ。ただの率直な感想だから。」 「っ率直な!先輩、僕のことそんな風に思ってくれてたんですね!!」 「あれ?なんかどんどん話がややこしい方向に向かってない?」 良い方法だと思ったんだけどな~。 前と右から唾を飛ばさんばかりで話しかけられ、軽く現実逃避して時間を潰す。 暫くすると呆れかえったように椅子に凭れた瀧藤。 一方、安達はブレザーの内ポケットからスマートフォンを取り出すと、バッとこちらを向いた。 「おぉっ、なに。どうした?」 「先輩、もう一回言ってください。録音するんで。」 「わー、ガチトーンで言わないで。怖い。」 大体録音して何に使うのかと聞けば、ナニに、とイイ笑顔で答える安達。私的に使うだけで絶対に流出させないからとか、そういう問題じゃないんだよな。 セックス禁止が安達のヤンデレを加速させているような気がしてならない。 もし、禁止令が無くなったり、付き合うことになったらと考えると背筋が伸びる。 俺は寒気に一つ身震いし、録音話を他へ逸らす為に話を元に戻した。

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