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第2話

終業式は午前までしかなく、昼ご飯を食べつつ問題の対策を練ることにした俺達は、学校の最寄り駅の周辺にあるファストフード店へ寄ることにした。 隣に安達、向かいに瀧藤で四人用の席に座る。 「契約の内容って、月曜日から金曜日のうち二回。昼休憩の20分、屋上もしくはいつもの空き教室でのみオッケー、でしたよね?」 「あと、セックス禁止な。」 間髪入れず、しっかりと釘を刺してくる瀧藤に苦笑してしまう。 「僕が言いたいのは!場所の指定だけ無くしてくれれば問題解決するんじゃないですかってことです!」 ふん!とふんぞり返る安達は小学生にしか見えないが、言っていることは最も。 でも、 「絶対だめ!」 「まぁ、そうだよな。」 「むぅ~~~。」 頑固な瀧藤が許すはずもなく、安達は不貞腐れてしまう。俺は膨らんだその頬をつつきながら、他の案はあるのか瀧藤に聞いてみた。 「ん~、案っていうか、単純な疑問なんだけど。」 「ん?」 「なんで安達がいれば眠りやすいのかなって。」 「愛の力です!」 「あ~、考えたことないかも。」 「愛の力です!!」 何故、安達という抱き枕があれば眠れるのか。 安達を抱いている時を思い返し、吠える子犬を無視してじっくりと考えてみる。 「せ、先輩?そんなに見つめられると恥ずかしいです!」 細い首からする、匂い、だろうか。 「ひゃっ、え?先輩、くすぐったいです!」 甘いようで、爽やかな、清廉なようで、大人っぽい安達の匂い。 この匂いを胸一杯に吸い込むと、途端に眠気がやってきて、水に揺蕩うような眠りに入れる。 それとも、小さい口から発する、声、だろうか。 「なに!なになに、ちゅーですかっ!?」 男子高校生にしては高い声。でも、丸く尖りの無い澄んだ声。 この声で話しかけられると、脳内にじんわり染み入って、穏やかに意識を手放せる。 それとも、なんとも言えない抱き心地、だろうか。 「わ!ほんとどうしたんですか、先輩!」 腕の中にすっぽり収まるしなやかな腰。俺よりちょっとだけ高い体温。 これを腕に閉じ込めると、微かに心音が聞こえてきて、より深い眠りに誘われる。 考えてたら段々眠くなってきた。 腕の中のものをより一層抱きしめ、顔を埋めて深呼吸する。 はぁ~~、なんでこんなに眠くなるんだろう、ほんと。 「ちょちょちょ、ちょっと待った、ストーップ!!!」 「!!!」 突然聞こえてきた大声に思考を遮られる。 「なに、どうした。」 「いや、どうしたはお前な!何を急にイチャつきだしてんだ!!」 「イチャつく…?」 「抱きしめてる、ソレ!茹蛸みたいになってるから!!」 そう言われて自分が何かを抱きしめていたことに気づき、腕の中を見る。 耳まで真っ赤になった顔。声も出せず忙しなく動く口元。そして目をぐるぐるに回している安達がそこにいた。

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