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第14話

あの日以来、よく安達と電話するようになった。 その日見たテレビ番組の話をしたり、中学の思い出を話したり、たまに宿題を教えたり。 とくに安達は、俺の昔の話を聞きたがったから、俺は色々話した。 小学生の授業参観の時、母親がくるのがちょっと恥ずかしかったこと。 運動会で普段運動なんてしない父親が、張り切りすぎて骨折したこと。 安達の昔の話も聞いた。 怖いのは苦手なのに、見栄を張って怖い話を聞いて、眠れなくなったこと。 意外と緊張しやすくて、卒業式で名前を呼ばれた時、盛大に噛んだこと。 こんなに頻繁に連絡するなんて人生で初めてで、凄く戸惑う。 けれど着信音を無視しようとしたら、安達の泣き顔がよぎり、結局、出てしまうから。 俺は今日も、パジャマとスマホを手に眠るのであった。 第四章 ~俺と抱き枕の大問題~ 完

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