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第8話
僕が誘われれば誰にでもで尻尾を振る、最低なヤツってことは僕が一番わかってます。
好きな人の目の前で三人の相手をしてても、恥ずかしいとか嫌だとかも全部スパイスに、気持ちよく善がることが出来るくらい、セックスが大好き。
でもね?来栖先輩。そんなこと、この場にいる全員が知っていることじゃないですか!
漣先輩だって、よ~~~く知ってますよ。僕がどうしようもないほど性欲に忠実に生きてること。
なんてったって、僕、先輩と出会って直ぐに無理矢理押し倒したんですから。
どうにかして先輩を繋ぎとめたくて、離れたくなくて。
僕が誇れることなんて、アナの具合が最高なことくらいだから、とりあえずセックスしなきゃって。
けどね、先輩はそんなことどうでもいいんです。セックスなんてしなくても傍にいてくれるんです。
僕が生徒や教師に体を売ってるっていう噂を聞いても蔑んだりしないんです。
でも来栖さん達とココで3Pしてるのを見られたときは絶望しました。
話を聞くだけなのと、見るのとでは受け止め方も全然違う。
しかも先輩ったら、僕がその状況に興奮して愉しんでたことを見抜いてましたから。
それでも先輩は何にも言わないんです。何にも聞いてこないんです。
勿論はじめは、先輩にとって僕はどうでもいい奴なんだって落ち込んでました。
あぁ~駄目だ、流石にこれは嫌われたなって。
けど、段々先輩のことを知っていくうちに分かったんです。先輩にとって”尻軽ビッチ”なんて個性の一つでしかないんだって。
だからあの日ここにいた時も、僕が合意の上でやってることだから助けようとしなかったんです。
僕はセックスが好き。
だから僕が不特定多数の人とセックスしていても、好きな人の前でいい様にマワされて、それを見られて興奮してても、先輩にとっては当たり前のことなんですよ。
先輩からしたら、電車オタクの人が毎週末旅に出ては珍しい写真を撮りに行くのと同じなんです。
僕には何の価値も無いって、どこかの偉い人の愛玩人形にでもなれればいいと思って生きてきた。一生精液塗れで、セックスに溺れてそうやって生きていくんだと思ってた。
なのに先輩は、僕がいるだけで幸せそうに眠ってくれる。何にもしなくても、何にも出来なくても、抱きしめてくれる。
僕に、価値を見出してくれるんです。
僕がこんな生き方をしてても、醜いなんて思わない。消せない汚れがこびり付いてるだなんて考えもしない。
ねぇ、来栖先輩。
その程度の言葉で、漣先輩が僕のことを蔑む訳が無いんですよ。
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