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俺から抱き枕への

先週、無事に学年末試験も終わり今日からまた通常授業が始まる。 安達と出会ってしっかり眠れるようになってから、授業中の集中力が増した俺は、今回のテスト結果にちょっと自信がある。 気持ち弾むような足取りで駅の改札を出て歩いていると、見知った後姿を見つけた。 「おはよー、安達。」 浮かれた気持ちのまま安達へ近寄り肩を叩く。 すると、ぴぎゃっと声を上げた安達が高校までの一本道を走り抜けていってしまった。 普段なら、自分から抱き着いてくるのに……? 少し疑問に思ったけれどらしくもなくテスト結果が楽しみだった俺は、特に気に留めなかった。 ――――――― ―――― ― 昼休み、空き教室に三人で集まって弁当を広げる。 話題はやっぱりテスト関連のことで、安達と瀧藤はまた比べられない勝負のことをギャーギャー言い合っている。 「ていうか、瀧藤先輩進級できるんですかー?」 「はぁ?舐めんなよ、ギリギリセーフだからな!」 「ギリギリなのが舐められる原因だと思うけど。」 「さ、漣ぃ~!!!」 おいおいと泣き真似をする瀧藤をからかって遊んでいる安達。 一見、いつもと同じ光景なんだけど何か違和感がある……。 不思議に思ったけれど、五時間目に返ってきた答案の点数が予想以上に良くて、そんなことなど忘れてしまった。

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