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第4話

夕飯を終え客人である安達を一番に風呂に入れ、続いて俺もシャワーを浴びた。 風呂上がりの水分を取って部屋に向かうと、安達はもうベッドに寝転がっている。 「眠い?」 「転がってただけですよー。」 スウェットの上下に身を包んだ安達を見るのは冬休みぶりだ。 体格よりもサイズが大きめなのか、襟ぐりから鎖骨が覗いている。 紺色のスウェットが陽の光を知らない白い肌を一層際立たせていて、思わずじっと見つめてしまいそうになって、ベッドを背もたれに座る。 「明日、何する?」 「ん~、特に考えてないです。何でもいいですよ、出掛けても、ぼーっと過ごしても。」 安達がのそのそと隣にやってきて俺の肩に頭を乗せた。 首にあたる髪の毛はまだ少し水気を含んでいる。 すん、と鼻を鳴らせば安達の匂いを掻き消すようにうちのシャンプーのにおいがする。 それがちょっと不満で旋毛に鼻を寄せると小さく安達が笑った。 「ふふ、先輩の匂いがする。」 自分の髪を弄りながらそう言った安達が可愛いから、まあ許すか。なんて誰に対しての怒りかもわからないものも収まってしまった。 久しぶりに二人きりになれたのに、脚の間に安達がいないのが何となくむず痒くて、細い腰に手をかけると安達が自ら動いてくれた。 投げ出した二人分の脚を細い右肩越しにぼうっと見ていると、安達が腹に回した俺の手を触りだす。 「一週間。長かったです。寂しかったし、会いたかったです。」 しんとした空間に、ぽつりぽつりと言葉が落ちる。 触れたら壊れそうなそれにひびが入らないよう小さく相槌を打っていると、小さな頭が寄りかかってきた。 先輩は? そう聞かれている気がしたから、腕の中の安達をぎゅうっと抱きしめて言った。 「俺も、ちょっと寂しかった。」 くるり。首だけをこちらに向けた安達。 頬は薄っすらと色づき、長いまつ毛に縁どられた瞳は甘く溶けている。 「………せんぱい、キスしたい。」 断る選択肢なんて無かった。 左手で丸い後頭部を支え、寂しがり屋の唇を迎えに行く。 触れては離れ、触れては離れを繰り返すうちに、薄っすらと開かれた間から舌を忍ばせた。 愛情を確かめ合うようにゆったりとお互いの舌を絡ませ、溢れ出る唾液を飲んでいく。 鼻で息をすれば待ち望んでいた安達の匂いがして、呼吸のたびに脳に溜まったそれが穏やかな眠気を連れてきてしまった。 「んんぅ、ぢゅ、ちゅぅ……せんぱ、ねむい?」 「ちゅっ、んーーー。」 まだしていたい気持ちと、抱きしめて眠りたい気持ちがせめぎ合う。 「んーーじゃあ、とりあえずベッドに入りましょ、ね?」 意識するとどんどん眠気が膨らんできて、緩慢な動作で寝転がる。 俺の代わりに電気を消してくれた安達を今度は向かい合うように抱きしめて、甘えるように鼻先に噛みついた。 「おやすみなさい。」 「おや、す……。」

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