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第11話
俺の頭が容量オーバーを起こしている。
えっと、安達は俺を好きで?俺と付き合いたくて、告白して?で、俺は断って。なのに安達は喜んで???
「もう、一体どういうことなの!!」
「えへへ~、先輩、大好きです!」
給水塔にもたれかかり完全に力を預ける。もう降参だと、ぎゅーっと抱きしめてくる安達を引き剥がして、問う。
「安達、何をそんなに喜んでるの?」
「ふふ、えへへへ~!先輩、僕に対して“恋愛感情は一切持っていない”んですよね?」
「あぁ、そうだけど。」
一語一句覚えていることに、ちょっと引く。何度考えてもその言葉に喜ぶ要素がないと思うのだが、安達は本当に嬉しそうに笑っている。
「恋愛感情“は”持ってないんでしょ?」
「うん。」
「それって逆に考えると、それ以外の感情“は”持ってくれてるんですよね?」
「……………うん?」
えーっと、成る程確かに、そういう考え方もできる………けど。
「こじ付け感半端ないな。」
「淡白な先輩からでた本心ですよ?先輩に興味持ってもらえてるだけで、嬉しいです!!」
なんというか、健気な奴だ。
また、抱き着いてくる安達。もはやコアラに見えてくる。腹に頭を擦りつけ、首筋で匂いを嗅ぎ、
「っておい、何してんだ。」
「えへへ~、先輩好きです~!!」
「…………もう好きにしてくれ。」
溜息が漏れる。出会ってから何度も思ったことだが、こいつの思考回路はどうなっているんだ。
するとベタベタと俺に甘えている安達が、突然こちらを見上げてきた。
ちょっと待て、嫌な予感がすごいんだが!
「先輩!僕、あなたの抱き枕になります!!」
「うん………っえ?っはあ!?」
なんでそうなる!
「先輩、寝るの苦手でしょ?でも僕を抱っこしてたら、寝れるって言ってたじゃないですか!!!だったら僕は、漣先輩専用の抱き枕になります!!!!!」
「待て待て待て待て。俺は暴君か!人をモノ扱いするのは、倫理的に駄目だろ。」
「でもSМプレイにそういうのありますよ?」
「そんな純粋な目でSMとか言うな。流されそうになるだろうが!」
「ぜひ流されちゃってください!!」
「誰が流されるか!」
確かに、安達がいれば不眠症は治るかも。いやいや、それとこれは別の話しで。でも昨日みたいに寝れることなんてこの先あるのか?だからって人を抱き枕にするのは駄目だって。
俺の中の天使と悪魔が争う。安達は、僕は抱き枕になれたら天にも昇る気持ちですよとか言っている。
いやだからそういう問題じゃないんだってば!!!
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