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第4話
しばらくして、結局これでは更に睡眠不足になると分かった。直ぐに睡眠回数を増やすように頼んだが、断固として瀧藤は許さない。
「今でさえ噂が立ち始めてるのに、これ以上接触を増やしたらどうなるか!」
「絶対ばれないようにします!」
「既にバレてんだろうが!!」
「これから頑張ります!!」
今日も今日とて言い争う二人。休憩時間の度に廊下から聞こえてくるコレの所為で余計に広まっているのだと思うのは、俺だけなのだろうか。
というか、付き合ってるわけじゃない!とか、先輩は僕のこと好きじゃない!とか……。自分で言ってて悲しくならないのか?まぁ、そのお陰で、俺と安達が付き合っているという噂は立っていないのだが。
「お前、愛されてんなぁ~。」
「ん?あぁ、そうだな。」
クラスメイトも最早苦笑いだ。
二人が騒ぐので、俺の不眠症についても粗方知れ渡ってしまった。隠していないから別にどうでもいいんだが、なぜか最近よく頭を撫でられる。なんでだ?
「とにかく!駄目なもんは駄目だ!!」
「瀧藤先輩のばーか!!!」
チャイムが鳴り、最後の言い合いを終えた瀧藤が教室へ帰って来る。ぐちぐちと文句を言いながら俺の前に座る瀧藤。適当に相槌を打ちながら、教師が来るのを待つ。
「年上に馬鹿とか言ってんじゃねーよ、クソチビ!!」
「でもお前、本当に馬鹿じゃん。」
「そういう問題じゃない!!」
「毎日元気だよな、お前ら。」
「話聞けよ!!!」
「ほら、先生来たよ。」
「聞けよ!!!!」
入ってきた先生に怒られ、さらに苛々が増す瀧藤。その後の数学では問題が解けず、安達の馬鹿発言が頭を過るのか、頻りに首を振っている。その様子が面白くて、ついつい笑ってしまう。
「くくっ、っふ、ぁははっ。」
「クソッ、笑ってんじゃねー!」
「煩いぞ瀧藤ー。」
「〜〜〜〜〜!!!」
「ククククク!」
踏んだり蹴ったりな瀧藤に笑いが止まらない1時間だった。
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「ふふふっ、やっぱり瀧藤先輩って馬鹿なんですね!」
「ん〜、一問一答形式はまだマシなんだけど、暗記以外が凄い苦手。」
今日は週に二回の抱き枕の日。屋上で昼ご飯を食べた後、安達を抱き締めながらウトウトする。その日あったことを話しながら眠る。それが一連の流れになっている。
1ヶ月もあれば男を抱きしめて寝ることへの抵抗感は消えたようで、最近では当然のように安達を迎え入れている。
「人類って凄い。」
「???」
不思議そうにこっちを見る安達に何でもないと言い、大きく息を吸い込んだ。
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