2 / 61

第2話 ロジ

「やあ、今夜も会えたね。私の家に来るかい?」 何度か顔を合わせるうちに、家に誘われた。 「この近くに住んでいるんだよ。古い家だけど 今は一人で住んでいるんだ。」  僕がついて行った家は、たくさんの宇宙に関する本や、天体望遠鏡、カメラなどが所狭しと詰め込んである混沌の場所だった。広いリビングに通された。古い大きなソファ。 「君は天体に興味があると思ったんだが。」 「あの、あなたは学者さんなのですか?」 「私は宇宙が好きなだけさ。高等遊民だよ。 ロジ、みんなそう呼ぶ。」 何をして暮らしているのか。45才だと言った。僕は25才だ。20才も年上なのか。    人見知りで友達のいない僕は、ロジの家に入り浸るようになった。何故か、居心地のいいロジの家。毎晩来てしまう。 「ミトは彼女とかいないの?」 突然聞かれて焦る。 「僕、友達はいないんだ。本当は人間が怖い。」 「そうか、私も人間は嫌いだな。煩いし。」  ロジは紅茶が好きなんだ。いつも香り高い紅茶を入れてくれる。紅茶の事をいろいろ教えてくれるので、僕も少しばかり詳しくなった。オレンジペコとか、名前も可愛い。僕はミルクをたっぷり入れたアールグレイっていうのが好きだ。 「ミトも紅茶好きになったみたいだね。』 「ロジが教えてくれたから。紅茶がこんなに美味しいなんて今まで考えた事も無かった。  ロジは僕の知らない事をたくさん知ってるね。」 「これからは、もっとミトの知らない事をいろいろ教えてあげるよ。」 意味深な笑顔。

ともだちにシェアしよう!