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第19話 夜の海
静かに外へ出た。夜の散歩の習慣を思い出した。もう深夜だ。寂しい夜だ。誰も友達がいないっていうのは寂しい事なんだね。
歩き疲れて海岸に出た。砂の上に座って波の音を聞く。意外と怖くはないんだな。海はいいな。今の季節は寒くないし、海で過ごすのも楽しい。
砂の上で眠ってしまった。
ーごめんなさい、ごめんなさい。
僕は幸せになる権利なんて無いんです。勘違いしてしまった。みんなで嘲笑う。僕なんかが人を愛するなんて。愛されてるなんて、とんだ勘違い。
ごめんなさい、ごめんなさい。
許してもらおうなんて、そんな権利は僕には無いんです。
夢みたいに楽しくて気持ちよかったから罰が当たった。一人ぼっちでいつも心が寒いのが僕には似合ってる。身の程知らず。
ごめんなさい,ごめんなさい。ー
何故かミトはいつも贖罪の夢をみる。自分が存在しているだけで、罪なのだ、という自己否定。
つらい夢を見ていた。誰かの声がする。
「ミト、ミト、しっかりしろ!」
ロジの声だ。嬉しい。思わず抱きついて
「嬉しい、嬉しい、ホントにロジだよね。」
声の主は強く抱きしめてくれた。
もう死んでもいいかな。
ロジに助けられて家に帰った。
「あの女の人は?」
「紅茶を飲んでるよ。レモンティー。
誰かさんが用意してくれたんだろ。」
(なんだ、まだいるのか。)
僕はがっかりした。
まりこさんは半裸でベッドで紅茶を飲んでいる。
身体にシーツを巻き付けて
「ロジャー先生が心配してたわよ。
紅茶ごちそうさま。
先生、続きやろう、まだ私満足してないの。」
酷い女。僕は嫉妬しているのか?自分がわからない。
「何見てるのよ。オッパイ、触りたいの?
いい形でしょ。ロジャーはこれが好きなのよね。まりこさんは僕にわざとらしく乳房を見せる。確かに僕はそんなの持ってない。
ロジはあれが好きなの?欲しいの?
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