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第25話 サリナと國士(くにお)
ホテルのバーでお酒を飲んだ。
バーテンダーが「セックスオンザビーチ」を薦めてくる。
ロジはスコッチを舐めながら、
「いいねぇ、酔わせて襲っちゃおう。
でも強い酒を飲ませると眠っちゃうからなぁ。」
「あ、そんなに強いカクテルではありませんから大丈夫。身体が熱くなりますよ。」
バーテンダーとロジが僕を見て笑っている。
(子供扱いして!)
サリナが入って来た。カッコいいマッチョな男の人と一緒だ。
「やあ、初めまして。サリナのお友達ですか?」
ロジが声をかける。マッチョな男の人は
「僕は昔からサリナにプロポーズしているのにOKが出ないんですよ。
東京に来るって言うから、今日はこのホテルに部屋を取ったので、一緒に泊まるんだけど、結婚はしてくれないのです。」
「サリナ君は私の秘書をしてくれてます。
お似合いじゃないか、お二人さん。
ご覧の通り私はゲイで、嫁のミトです。」
「お互いに楽しみましょう、先生。
ミトちゃん、先生を独り占め、ね。」
サリナの顔が寂しそうだった。二人が奥の席に座ったので、僕はロジに
「サリナはロジに抱かれたいのに。」
と言ってしまった。
「ミト、私だけの事を思ってくれ。
私だけを見て。」
ロジの目が怖くなってる。
ホテルの部屋に入っても、ロジはさっきから何もしてくれない。黙って何か考え事をしてるみたい。スマホで誰かに電話をかけている。
「2003号室だよ。ダブルのツインだから、狭くはないだろう。」
誰かって誰?
しばらくして、誰か、が来たみたい。
やっぱりここに呼んだんだ。僕はドアを開けに行った。サリナとさっきの彼がいた。
「呼びつけて申し訳ない。
ミトが寂しいからサリナ君も呼んで一緒にお酒を飲みたい、と言うんだ。わがままで困ります。」
(全部、僕のせいにされた。なんかひどい。)
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