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第33話 サリナ
あのホテルの目眩く快楽の夜から、僕たちの日々は充実して来たと思う。
サリナはクニオと結婚した。美しい二人だ。クニオは父親の会社を手伝ってるって言ってた。
聞いたら、日本を代表するような大企業だった。次期社長なんだって。
サリナも忙しそうだけどロジの仕事は辞めてないから時々家に来る。もう前みたいにセックスは無い。
「サリナ、今日はロジの仕事、無いよね。」
久しぶりにサリナが来た。
「うん、クニオがいないからつまんなくて。
ロジ先生に、何処かに遊びに連れて行ってもらおうと思って。」
クニオは仕事だって。お父さんが社長だから、お供で出張。アメリカ、シリコンバレーとか、言ってた。しばらくサリナは寂しいね。
「一緒に行けば良かったのに。」
「お供の重役がたくさんついて行ったから、
あたしは逃げたの。面倒な輩だよ。
あたしのタトゥーを隠せっていう人種。
苦手だなぁ。」
ロジが
「行くな、行くな。嫌な思いをするなら、直ぐにでも離婚しろよ。秘書の仕事でやっていけるだろ。」
無責任な事を言っている。
「ロジ先生、あたし、困った事にクニオを愛しているのよ。本気で愛し始めちゃった。
取り敢えず、我慢出来そう。」
「それはめでたいな。お祝いにドライブでもするか?」
「サリナが運転じゃお祝いにならないよ。」
「大丈夫、マイバッハの運転はあたしの楽しみだから。何処に行く?」
「九十九里に大学時代の友達がいるんだよ。
最近、白浜ベースっていうプロジェクトが始まって、ロックバーが出来たんだって。
そいつはドラムを叩くんでその店の箱バンなんかやってるらしい。本職は中学教師なんだが。
一度行こうと思ってたんだ、ミトにも会わせたいし。」
サリナの運転で小一時間程の快適なドライブだった。
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