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第35話白浜ベース②

「五月雨を知っていますか? そうか、無頼庵、ブライアンは五月雨のお父上の名前だった。」 「ほほほ、五月雨は私の息子です。 ブライアンは五月雨が生まれる直前に飛行機事故で亡くなりました。もう、45年も前の事よ。」 「五月雨は今、どちらに?」 「中学の教員をしているので、今日は学校に行ってます。夏休みなのに、ね。  もう直ぐ帰ってくると思います。 嫁が奥で仕事してますから、呼んできますわ。」  ミシンの音が止まって、奥からフランス人形が歩いて来た。等身大のフランス人形か、と思ったのは可愛いドレスの女の子だった。 「こちらは五月雨の大学のお友達だそうよ。 あの、お名前は?」 「ロジャー・五十嵐といいます。 大学で教員をしています。これは嫁のミト。 そして秘書の藤田サリナ君。」 「メイ先生のお友達?アメリカの大学の?」 「ああ、あなたは五月雨の奥さん? ずいぶんお若いようだが。」 「琥珀です。22才。メイ先生より23才年下なの。」 「か、かわいいっ。」 「ミト、失礼だよ。あ、嫁のミトです。」 「えっ?でも男の人、ですよね。」 「私たちは、ゲイなんだよ。」 フレディが飛んで来て 「やっぱり、そうかと思いました。 素敵!堂々として素晴らしいわ。」  思わずハグしたフレディにロジがキスをした。 「ダメですよ、奥様が見てる。」 フレディは嬉しそうだ。 「大丈夫、いつものことなんだ。 ロジは僕にヤキモチ妬かせるのが好きなんだよ。」 「私、メイ先生がそんな事したら泣いちゃう。」 「あ、琥珀ちゃんごめんね。」 名前を呼んでしまった。 僕は琥珀ちゃんに一目惚れ、だ。 「メイ先生って五月雨の事? ああ、あいつの名前は五月雨メイストーム、だったね。八岐五月雨メイストーム。  結婚しても先生なの? もしかして教え子?」

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