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第36話 白浜ベース③
五月雨が入って来た。
「あれ、珍しい奴がいる。
ロジャー、久しぶりだね。」
ロジは今度は五月雨っていう人とハグした。強く抱いて離さない。耳元で何か囁いている。
「会いたかった。寂しかった。おまえを忘れた事はなかった。ミトに出会うまでは、おまえのことしか考えられなかった。離したくない。」
「ちょっと待てよロジャー。奥さんを紹介してくれよ。」
「ああ、ミトだ。今は私の最愛の、私の命。
キスしてやってくれ。」
五月雨は僕の頬に軽く唇を触れた。僕はクラクラした。この人なら誰だって好きになってしまうだろう。
美男美女の夫婦なんだ。サリナとクニオの美しさとはまた、タイプが違う。可愛さもプラスだ。
どんなセックスをするんだろう。妄想が膨らんでしまった。
近くにロックバーがあるから行こう、とメイ先生が言った。僕も琥珀ちゃんと同じように、メイ先生と呼びたい。
無頼庵を出て少し歩くと
『咲耶さんのロックバー』という看板が見えて来た。店の前に若い人たちが屯している。犬もいる。メイ先生を見つけて
「今日はライブやらないんですか?」
「いや、みんな集まったらやると思うよ。
今日は古い友人が来たんで、この辺を案内しようか、と思ってね。
タイジ、紹介するよ。僕の親友、ロジャーだよ。それと奥さんのミトさん、秘書のサリナさん。」
タイジはこの店の咲耶さんの孫で機械に強い。
DJをやっている。他にもラッパーが集まってくる。タイジはさっきからサリナのタトゥーが気になっている。
タイジも結構タトゥーを入れているのだが、サリナのものはレベルが違った。
(全身?裸になってもらいたいが無理だな。)
「凄いっスね、タトゥー。」
「タイジもカッコいいの入れてるね。」
(こんな女の人、初めて見た。カッコいい。
全身にタトゥーを入れるのは並大抵のことじゃない。痛いし,高熱が出るはずだ。時間をかけて少しずつ入れたんだろうな。根性あるなぁ。)
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