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第44話 二人の暮らし
僕とロジの暮らしは落ち着いて来たと思う。 毎日が夢のような時間なのだけど、その中に日常が染み込んで来た。
ロジがご飯を作ってくれる。僕の好きな物をいつも考えてくれる。僕は食べるものにあまり好き嫌いはないほうだし、ロジもそうだ。
梅子さんのご飯も美味しいけれど、二人で料理するのも楽しい。買い物も二人で行く。
仲のいい兄弟か、親子に見えるかもしれない。
「ロジ、今日はお仕事ないの?」
「わかってるよ、白浜ベースに行きたいんだろ。」
僕はこの前行った白浜ベースが気に入ってしまった。友達なんかいらない、と思ってたんだけど、あそこには友達になりたい、と思う人がたくさんいた。サブと亮にも会いたい。僕と年が近い。
ソファでロジの膝に乗りながら、いろんな事を話すのが楽しい。でも途中から、ロジの愛撫に負けてしまう。それも楽しいんだけど。
「ミトは九十九里が気に入ったんだね。
琥珀ちゃんに会いたいんだろう。」
「うん、琥珀ちゃん、可愛いだけじゃないの。
アニメに詳しいし、話は興味深い。
ロジだってメイ先生に会えるでしょ。」
ロジが僕の口をキスで塞いだ。ロジの触れられたくない事なんだ。僕も強くキスを返しながら苦しくなった。
(僕の事を一番に愛してくれなくちゃ嫌だ!)
どんなにロジを抱きしめても、この手に掴めないものがある。ロジの心の中に僕の届かない場所がある。
「どうした?
ミトの望みは何でも聞いているのに。
ミトの欲しがるものは何でも与えたい。」
「じゃあ、血の滴る心臓。」
「サロメ、か。
私はミトに、心臓も何もかも捧げているんだよ。」
僕はロジの首に抱きついて、離したくない。
ロジとまた愛し合って一つになりたい。もうどんな事があっても離れたくない。
「今日はずいぶん甘えてくるね。
可愛いミト。こんなに愛してるのに何が足りないんだ?」
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