44 / 61

第44話 二人の暮らし

 僕とロジの暮らしは落ち着いて来たと思う。 毎日が夢のような時間なのだけど、その中に日常が染み込んで来た。  ロジがご飯を作ってくれる。僕の好きな物をいつも考えてくれる。僕は食べるものにあまり好き嫌いはないほうだし、ロジもそうだ。  梅子さんのご飯も美味しいけれど、二人で料理するのも楽しい。買い物も二人で行く。  仲のいい兄弟か、親子に見えるかもしれない。 「ロジ、今日はお仕事ないの?」 「わかってるよ、白浜ベースに行きたいんだろ。」  僕はこの前行った白浜ベースが気に入ってしまった。友達なんかいらない、と思ってたんだけど、あそこには友達になりたい、と思う人がたくさんいた。サブと亮にも会いたい。僕と年が近い。  ソファでロジの膝に乗りながら、いろんな事を話すのが楽しい。でも途中から、ロジの愛撫に負けてしまう。それも楽しいんだけど。 「ミトは九十九里が気に入ったんだね。 琥珀ちゃんに会いたいんだろう。」 「うん、琥珀ちゃん、可愛いだけじゃないの。 アニメに詳しいし、話は興味深い。  ロジだってメイ先生に会えるでしょ。」  ロジが僕の口をキスで塞いだ。ロジの触れられたくない事なんだ。僕も強くキスを返しながら苦しくなった。 (僕の事を一番に愛してくれなくちゃ嫌だ!)  どんなにロジを抱きしめても、この手に掴めないものがある。ロジの心の中に僕の届かない場所がある。 「どうした? ミトの望みは何でも聞いているのに。 ミトの欲しがるものは何でも与えたい。」 「じゃあ、血の滴る心臓。」 「サロメ、か。 私はミトに、心臓も何もかも捧げているんだよ。」  僕はロジの首に抱きついて、離したくない。 ロジとまた愛し合って一つになりたい。もうどんな事があっても離れたくない。 「今日はずいぶん甘えてくるね。 可愛いミト。こんなに愛してるのに何が足りないんだ?」

ともだちにシェアしよう!