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第52話 神社

 ロジと手を繋いで、海と反対側の田んぼの方へ歩いて行った。一面、田んぼの緑の中にそこだけ森がある。神社の鳥居が見えて来た。 「犬塚神社だって。」 「ああ、五月雨の家は奥の離れだって言ってたな。」  裏手に入母屋造りの屋根が見えた。古民家風の洒落た家。  玄関の木で出来たノッカーのようなものを叩いてみる。カランコロン、思いの外乾いたいい音が響いた。 「こんにちは、五十嵐です。」  ずいぶん待たされて、奥から上半身裸のメイ先生が出て来た。 「やあ、突然だね。どうぞお上がりください。」  ロジが手を繋いでくれた。和風のリビングに通された。メイ先生が珈琲を淹れてくれてる。  琥珀ちゃんが来た。 「ロジャー、ミト、こんにちは。」 もう、名前を呼んで、人懐っこいんだな。  薄い布で出来たヒラヒラのドレスを着ている。 髪をツインテールにしていてなんだか上気した素顔が可愛い。妖精みたいだ。 「こんな格好でごめんなさい、すっぴん。 メイ先生と一緒にお風呂に入ってたの。」 「こらこら、そんな事言わなくていいよ。 琥珀は全く子供なんだから。」  メイ先生は琥珀ちゃんが可愛くてならないみたい。わかるよ。確かに琥珀ちゃん、もの凄く可愛いもの。  ロジはつまらなさそうにしている。変な感情が僕を困らせた。琥珀ちゃんが好きだ。メイ先生も好きだ。ロジはもちろん大好きだ。  ロジは何か苦い物を噛んだような顔をしている。メイ先生がシャツを着ながら 「ロジャー、庭を案内しよう。神社に繋がっているんだ。」  廊下を歩いて行くと縁側があって綺麗な広い庭が見えた。  メイ先生とロジがブラブラ庭を歩いて行く。 僕は琥珀ちゃんと二人。緊張するけど、お話ししたかったんだ。

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