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7年前──第22話*
「……橘のペニス、ちっちゃいね」
「み、見るなよぉ!」
「まだ毛も生えてないんだね。つるつるだ」
「わっわるいか! おまえだって生えてないだろ!」
「生えてるよ?」
「え」
「ふふ、あとで見せてあげるね」
ぽかんとする。
「はぁ……すごいや、ホンモノの橘のペニスだ。ここは日に焼けてないんだね、ピンク色でかわいい」
ちんこをペニスなんて言う奴初めてみた。
「ねえ橘。精子、出したことある?」
「せー、し……って」
「そう、このさきっぽから、白いの」
「んぁっ」
姫宮が赤らんだ眦を細め、手を伸ばしてきた。つう、と指の背で撫でられ、するすると何度か往復される。むず痒さにン……と身を捩れば、姫宮の喉がごくりと上下した。
「──さわられるの、キモチイイ?」
「ゃ……ンんっ、ちがっ……」
ぎゅっと目をつぶって顔を逸らせば、窘めるように同じ質問をされた。
「精子は?」
「な、ないよ、ないってぇ」
ふるふると首を振る。精子は知ってるけど、ここから出したことなんかない。
「ふうん、まだなんだ」
いいね、と喉の奥で嗤った姫宮に、根元をきゅっと握られた。
そのまま上下に擦られる。
「ァっあぁっ、ダ、メぇ、ごしごしすんなぁ……っ」
「ダメ? とろとろ溢れてくるけど。ふふ、形も変わってきたね」
言葉の通り、まるっこい割れ目からは絶え間なく透明な液が溢れていた。
(なんだよ、これっ、俺のちんこ、変になっちまった……)
ぐにぐにと先端を覆う皮を弄られ、手のひらでぬるぬると先っぽを撫でまわされると、ぷちゅぷちゅと水っぽい音も増していく。ダメだ、このままじゃ。
「やだぁ、じんじんするっ、おしっこで、るぅ! といっ、れ、トイレ行かせ、てぇ」
「うんわかった。じゃあイかせてあげる」
「え──ひっ、やぁ、ああ」
にゅるん、最初の感触はそんなものだ。
「な、な、な」
瞬きも忘れて唖然とし、股の間で上下する黒髪をただ見つめる。
「ん、は……ァ。想像してたより、しょっぱい、かも……ンン」
姫宮が、俺のちんこ、舐めてる。
垂れた髪を耳にかけ、もぐもぐと根本まで咥え込まれた。
れろれろ絡みついてくる舌の感覚がダイレクトに伝わってきて、首を振る。
「ふ、ぅっ、ひぁ」
「あー、可愛いなぁ。嘘みたいだ、僕、橘のペニス舐めてる。ぷるぷる震えてて、ゼリーみたいだね……このまま食べちゃいたいなぁ……食べていい? ねぇ橘、はやくここから白いせーし出して……飲ませて」
愛らしいお姫さまみたいな姫宮に、恍惚とした顔でちんこをしゃぶられるというとんでもない光景にただただ茫然とする。
姫宮の眼は、血走っていた。
なんでコイツ、こんなに俺のちんこに興奮してんだ。しかも人のちんこを食べたいだなんて。
わかってはいたがやっぱりおかしい、異常だ。
「ふ、ぅ……っ、ひ……」
それでも、強制的に与えられる未知の感覚に、チカチカとまぶたの裏が点滅し。
最後にじゅるぅっと強く吸いつかれて、声もなくのけ反る。
「──ッ……ッッ!」
「ん……さすがにまだ出ないか」
断続的な痙攣を繰り返し、ゆっくりと体から力が抜けていく。何が、起きたのか。
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