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第10話
今日は時雨があのせせらぎ学園へ入学すると聞いて、3人の老人達は祝いの品を持って喫茶店に集まった。
少しすると喫茶店に潮見が注文した寿司が届き、今日は宴会だといって、店を閉めた。
石塚はそれを合図に「入学おめでとう」と書かれた大きなホールケーキを店の中で一番大きな机の上に置いた。
その中央席へ花形が時雨を座らせる。
そして、柿本が綺麗にラッピングされた幾つものプレゼントを両手に抱え、時雨の隣の席へと座った。
「時雨君、せせらぎ学園入学おめでとう‼︎」
潮見が祝いの言葉をかけると、どこに隠し持っていたのか、老人達は一斉にクラッカーを鳴らした。
「「「おめでとうー」」」
あれよあれよと言う間に好き勝手に祝われる時雨は目を点にして口をあんぐり開けて固まってしまった。
その顔を見た老人達は楽しそうに声を上げて笑う。
「時雨君!ほらほら、プレゼントを開けておくれ」
「寿司もはよ、食べよう!」
「待て待て、写真じゃ!記念の写真を撮らねば!」
老人達は自分の事のように喜び、時雨と一緒にジュースで乾杯した。
時雨はいつも可愛がってくれていると思ってはいたが、ここまで親切にされて、困惑が隠せなかった。
その感情が表情に出ていたのか、老人達は顔には出さぬが内心、同情を宿した複雑な気持ちになった。
しんみりしそうな雰囲気を打破するように石塚が大トロを口に含んで飲み込んだあと、嬉しそうにプレゼントの山を指差した。
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