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第13話

サプライズの入学祝いを終え、自宅へ帰った時雨はベッドとテーブルだけが置かれた殺風景な自分の部屋の地べたに座り込んだ。 少しの間ぼーっとしたあと、すぐ隣に置いたプレゼントの山をジッと見つめた。 いつも優しい4人に支えられ、助けて貰ってばかりで自身の不甲斐なさに少し落ち込む時雨は小さく溜息を吐くと、明日の学校への準備を始めた。 貰ったリュックサックを取り出し、使い古したかなり年期の入った鞄から教科書類を入れ替える。 そのままリュックサックを持って下駄箱に進み、靴の入った箱を開いた。 「明日から宜しくね」 貰ったリュックサックと靴へ挨拶すると、時雨は玄関にそれらを置いて部屋の中へと戻った。 プレゼントして貰った腕時計の時刻を合わせ、明日から使うのが楽しみだと撫でる。 そして、スマートフォンを手に持ち、不慣れな操作で連絡帳を開いた。 潮見率いる4人の名前が名簿に入っていて、心がふわふわした。 高校へ進むにつれ、そろそろスマートフォンが必要と考えていた時雨はこのプレゼントにも感謝した。 それも大好きな4人の連絡先も教えてもらえて高揚感が治らない。 ポチポチとスマートフォンを弄りながら早く慣れねばと奮起していたら、ピコンッと音が鳴り通知が入った。 タップすると、潮見が簡単に連絡が取れるというアプリ、レインから今日のお祝い時に撮った写真を送ってきてくれた。 「わぁ〜…。凄い!こんなことも出来るんだ!」 小さな子供のように目をキラキラさせ、時雨はその夜、夢中でスマートフォンを触った。 ベッドの中でスマートフォンを触りながら寝落ちした時雨は目覚まし時計の音で早朝4時に起床する。 「ゔぅ〜……、昨日は夜更かししちゃったな…」 スマートフォンに慣れるついでに4人に何かお返しをしたく、色々みていたら、いつもは必ず21時に寝るのに昨日は0時を超えてしまった。 己の失敗を反省しながら、時雨は眠い目を擦りながらベッドを出た。

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