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第21話
生まれて初めてと言っていい衝撃に圭は驚きに身体を固まらせた。
「君のような人間が一番嫌い……。一生関わりたくない。関わらないようにひっそり生きていくから今後は絡まないで」
時雨は掴まれていた手を振り払い、静かに告げると圭へ背を向けた。そのとき、肩を掴んで引き寄せられ、ふわりと身体が宙を浮く。
「うわっ‼︎」
ヒョイっと肩に担がれるように抱え上げられ、時雨は驚いて足をバタつかせた。
「危ないからジッとして」
「降ろしてっ!一体なんなんだよ⁉︎」
圭は暴れる時雨を無視してスタスタと廊下を歩き、部屋へと入ると奥の扉を開いた。
大きなベッドが二つ並んでいるベッドルームへ入り扉を閉めると、圭は担いでいた時雨をベッドの上へ降ろして、覆い被さるように組み敷した。
「や、やめて!ってか、なに⁉︎僕は合意してない!君のこと嫌だって言ってるよね!」
綺麗な顔を近付け、キスしてこようとする圭を時雨は首を振って拒絶した。そのとき、時雨の眼鏡がズレ、圭は少し鬱陶しそうにその眼鏡を奪うように取ると、ベッド脇のテーブルの上へ眼鏡を置いた。
そして、そのテーブルの引き出しを開き、小さなケースを取り出した。
「時雨って案外ガンコなじゃじゃ馬なんだな。……別に嫌いじゃないけど、やっぱり初めは素直に可愛く求められたい。レイプは趣味じゃないんだ」
にっこり笑って手の中のケースを開く圭に時雨は顔を真っ青に染めた。
「それ……、もしかして……っ…」
「うん。発情させる注射」
ケースの中から媚薬の入った注射器を取り出した圭は時雨の左腕を掴んだ。
「オメガ専用の副作用のない良質な薬だから安心していいよ。強制的に発情するだけで、数時間経ったら戻るから」
「う、うそっ!やだっ!!やめてっ!!こんなのレイプと一緒じゃないか!!」
「ジッとして!時雨から求めてくるようになるから」
全力で暴れる時雨に圭はアルファの威圧を使った。
何か強い力に縛り付けられるような感覚に陥る時雨は冷や汗を流して固まる。
そんな時雨のガタガタ震える身体を優しく抱きしめて、撫でるように左腕を持ち上げ、圭は銀色に光る長く細い針を時雨の腕へと刺した。
「ひっ……」
小豆色の瞳を恐怖に震わせ、涙を浮かべる時雨は腕の中へ透明の液体が入ってくる感覚に慄きながらギュッと瞳を閉じた。
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