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第22話
「ぅ……ぁん…っ………」
恐怖心がどんどん深まり、同時に身体に熱が帯び始め鼓動が早まる時雨は自分の身体を抱き締めるようにして身体をくの字に折りたたみ縮こまった。
「即効性だから、ちょっと戸惑うだろうけど大丈夫。どんなに乱れても俺がいるから安心して」
小さく震える身体を優しく抱きしめて、圭は時雨の頭へちゅっとキスをした。
たったそれだけで時雨の身体はビクンッと飛び跳ね、身体の熱が高ぶっていく。
「あっ……はぁ……ぅ…、やだぁ……」
髪を撫でてくる圭の手に反発するように時雨は首を左右へ振って拒絶をした。
「頭、撫でられるの嫌?」
それなら仕方ないと、今度は首筋へ手を這わせる。
「んっ!」
ビクビク震えながら、更にイヤイヤと首を左右へ振る時雨に圭はどこまでその強がりが続くか楽しくなってくる。首から背へと今度は指先で身体を撫でてやる。
「やっ!ィヤァっ‼︎」
少しヒステリックのような声を上げた瞬間、時雨の身体からブワッと色濃い花の香りが舞い上がった。
甘くそれでいてスッキリとする何度も繰り返し深く吸い込みたくなる癖の強い香りに圭は目眩を起こし、次に脳をぶち抜かれた感覚に陥った。
その香りをもっと近くに感じたくて、もっと深く身体の奥へ求めたくて、圭は獣のように時雨を抱き寄せ、首筋へ顔を埋めた。
「はぁっうぅっ……、あっあっ…、やっ!首はヤァぁァアーーー‼︎」
時雨はのしかかってくる圭をぶるぶる震える手で押し退けたり、服を引っ張って引きがそうと必死にもがいた。
そんな抵抗が鬱陶しい圭はふと、顔を上げるも涙が溜まった小豆色の瞳とぶつかった。
熱に熟れながらも強気な眼差しを向けてくる時雨にトんでいた意識が戻る。
「やっべぇ……、こわっ!」
予想外な展開だったのか、圭は口元を掌で覆いながら自身の失態への笑みを浮かべ、時雨から上体を起こすようにして身体を離した。
「時雨、本当凄いよ。俺、ここまでラリったの初めてだ。自分が自分じゃなくなりそう……」
琥珀色の瞳をギラギラと獲物を狩るような捕食者の獣のように輝かせながら、熱く滾り始めた身体を鎮めるように圭はフーッと大きく息を吐いた。
「いいね、時雨……。めちゃくちゃ楽しい」
新しいおもちゃを手にした子供のように好奇心溢れる目を向けてくる圭が怖くて、時雨は逃げるようにギュッと瞳を閉じた。
「大丈夫。時雨が素直になれば苛めたりしないから。うんと甘やかせて優しくするよ。約束する」
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