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1.青空と"さよなら"と(15)

 風呂を上がるころには、おじさんも帰ってきていた。 「なんだか、息子がもう一人増えたみたいだなぁ」  なんて、嬉しそうに言われて……正直、居心地が悪い。俺たちが付き合ってるなんて知ったら、この笑顔はなくなってしまうんだろうか。それを考えると、少しだけ、胸が痛くなった。 「柊翔もそろそろ風呂に入るようにって、言ってきてくれる?」  おばさんに言われて、部屋の前まで行ってノックした。"はい"という声がしたので、ドアを開ける。机に向かっていた柊翔は、顔を向けずに勉強に集中していた。 「あ、あの」  俺の声で、驚いたような顔で振り向いた。 「あ、ああ。そっか。風呂出たんだ。」  なぜだか、少し顔を赤らめながら俺を見つめる柊翔。そのまま立ち上がると、ドアのそばにいた俺の手を引いて、抱きしめた。 「……いい匂い」  そう言って、俺のうなじに鼻をすりよせる。 「く、くすぐったいですって」  抑え気味の声でそう言って離れようとしたのに、柊翔の腕からは逃れられない。 「もうちょっと、いいだろ」 「だ、ダメですって。早く、風呂行ってくださいっ」 「……ケチ」  そう言って拗ねた表情を見せたかと思ったら、すばやく軽いキスをした。 「!?」 「クスッ、じゃ、風呂いってくるかな」  着替えを持って部屋を出る柊翔は、なんだか楽しそう。風呂に向かう柊翔の背中を見て、思わず、つぶやいた。 「……俺、ちゃんと寝かせてもらえるんだろうか」  そんな俺の心配は杞憂で済んだ。  おばさんが、「一緒の部屋で寝かせたら、あんたたち、どうせ遊んじゃって寝やしないでしょ」と、客間のほうに、俺のための布団を敷いてくれた。  ……うん。  たぶん、おばさんが思ってるのとは違う意味で寝られなかった気がする。柊翔と一緒の部屋で寝るなんて、我慢しすぎて寝られないか、我慢しないで寝られないか。  今の俺たちは、たぶん……我慢できそうにないけど。どっちにしたって、寝不足決定だし。子供のころは、そんなこと気にせずに、一緒の布団で寝たこともあったのに。  ちょっとだけ、子供のころのことが、懐かしく思えた。 「ちぇっ、残念」  そう言って、ニヤっと笑う柊翔。そんな柊翔を無視して、おばさんに「ありがとうございます」と言った。

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