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1.青空と"さよなら"と(17)

* * *  要の家の玄関のチャイムを鳴らした。しばらくして、バタバタと階段を駆け下りてくるような音が聞こえてきた。 「どんだけ、てんぱってんだよ」  思わず、クスリと笑いながら、要が玄関を開けてくれるのを待った。  今日は、講義の後に、先生を捕まえて質問していたから、予定してた時間よりも遅くなってしまった。熱心な先生はありがたいんだけれど、早く帰りたいときは面倒だな、と思ってしまう。  いつもなら講義前に軽く食べていくのだけれど、今日は要の手料理が久しぶりに食べられると思ったら、腹が減っても我慢してしまった。  玄関が開くと、少し顔を赤くした要が、出迎えてくれた。 「こんばんわ」  要の顔を見ると、思わず微笑む。なんだか、こうして出迎えてもらうのって、新婚さんみたいっていうか。そんなことを考えて一人で、ニヤニヤしてしまう。 「お、お疲れ様です」  照れまくってる要が、可愛くて、ついつい頭を撫でてしまう。 「ありがとう。おじさんは?」 「……今日は、泊まりだって……」  その一言を言うのを、すごく恥ずかしそうに言う要。  ……はぁ。どんだけ、俺を煽ってるんだよ。  玄関をしめると、目の前の要を抱きしめた。 「し、柊翔、ご飯は?」 「食べてないよ。要の料理、楽しみにしてたんだ」 「お、俺も一緒に食べたくて待ってた」  そんなカワイイことを言うから、額にキスをした。 「そ、それとも、お風呂先に入りますか?」 「ぷっ。『それとも私?』」 「い、言いませんよっ!」  そう言って、要は真っ赤になって、逃げるように俺から離れていった。

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