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1.青空と"さよなら"と(20)

 柊翔に抱かれることが、こんなに安心感を持たせてくれるなんて、思ってもいなかった。  自分では大丈夫なつもりだったけれど、柊翔に抱きしめられて、ひとつになることで、一人じゃないんだって、心から思えるようになった気がする。  そして、柊翔が家に来てくれるたびに、俺を甘やかしてくれる。  そのおかげか、俺も笑顔が増えた気がする。  ただ、その一方で。  柊翔が来る日は、必ずと言っていいほど、親父が家に帰って来なくなった。  週末に辛うじて顔を合わせるくらいで、平日はまったく会うことがなくなった。  顔を合わせるといっても、ずっと家にいるわけではなく、いつも出かけてしまう。  テーブルの上に残されるメモと、小遣いだけが、俺たち親子が繋がっている証拠でしかなかった。  それでも、ちゃんと親子でいられると、思っていたんだ。  あの時までは。

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