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2.恋しくて、恋しくて(2)
「……なんで、あそこに宇野さんたちがいらっしゃったんですか?」
コーヒーカップから目を離さずに、坂入さんに聞いた。あまりにもタイミングが良すぎたから。
「お母様が亡くなられたのを、亮平さんが知りまして」
「……なんで」
「おそらく、鴻上くんから連絡がいったのではないかと」
「……」
「葬儀のほうには、別の者の名前で、伺っているかと」
「……そうだったんですか」
坂入さん曰く、亮平が俺を心配して、しばらく様子を見るように宇野さんに言ったらしい。たぶん、柊翔が俺の家に通ってることも、知ったに違いない。だから、そろそろ引き上げようとしていた時に、親父の行動に違和感を持ったらしい。
……そして、親父のことを調べていたと。
その途中で、俺と親父が遭遇してしまった。
「……鴻上くんに連絡しますか?」
「……え?」
「スマホ、メッセージがいっぱい来てるみたいですよ?」
もう模試が終わったんだろうか。それにしては早すぎる気がする。坂入さんから、まだ十分に充電できていないスマホを渡されて、メッセージを確認した。
「……す、すごい数……」
確かにメッセージがいくつか来ていたけれど、中でも柊翔からのメッセージの数が尋常ではなかった。どれもが俺がどこにいるのか、何があったのか、早く連絡しろ、という内容のもの。
「と、とりあえず、メッセージだけ、返します」
そう言うと、坂入さんは、優しく頷いて、席を立っていった。坂入さんの視線を感じなくなったせいか、すごく柊翔に会いたくなって、甘えたくなった。スマホを思わず、握り締めて、零れそうになる涙をこらえた。ズズッと鼻をすすりながら、メッセージを入力しようとしたら。
「うわっ!?」
柊翔から、電話がかかってきた。既読がついたせいかもしれない。
『要、今、どこ』
……すごく、怒ってる声。
「……亮平の住んでた家」
『ッ!?』
「充電きれるから……。」
『要!?』
本当はもっと話したいけど。話すだけじゃなくて、会って、抱きしめてもらいたいけど。
さっきの親父からの電話のせいもあって、残り4%とか、マジ勘弁だわ。再び充電器につなげながら、メッセージを打ち始めた。
『電話途中でごめんなさい』
既読
『電話でも言ったけど、亮平が前に住んでた家にいる』
既読
『今、充電しながら打ってる』
既読
『ちょっと、いろいろあって』
既読
『柊翔に会いたい』
既読
『これから行く』
柊翔のメッセージに、乾いてた涙がまた零れた。
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