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2.恋しくて、恋しくて(3)

 メッセージを見てから三十分とたたずに、エントランスのインターフォンのチャイムが鳴った。坂入さんがキッチンのそばにあるモニターを確認して、自動ドアを開けていた。 「鴻上くんが、来たようですよ」  俺は、まだこのフロアに着いたわけでもないのに、柊翔を待つために、パタパタと玄関へ向かう。玄関のチャイムの音と同時に、ドアを開けた。  目の前には、不安そうな顔の柊翔が立っていた。 「……ッ!!」  俺は、柊翔の顔を見ただけで、涙がこぼれてきそうになった。 「要、大丈っ……ぶっ!?」  柊翔が言い終わらないうちに、柊翔の腕を引っ張って、玄関の中に引きずり込んで、有無を言わさず抱き付いた。 「か、要?」  耳元で柊翔の優しい声がするから、俺はもう、我慢できずに泣きだしていた。俺は柊翔に肩を抱かれながら、リビングのソファに腰を下ろした。  坂入さんは、柊翔のためにコーヒーを入れると、俺たちを二人きりにするために、部屋を出て行ってくれた。 「……あの人は?」  柊翔は、心配そうに俺の顔をのぞきこむ。 「……亮平のとこの人……」 「そうか……」 「驚かないの?」  フッ、と寂しそうに微笑んだ。 「いつだって、亮平はお前のことを気にしてるから……」 「柊翔だって、そうだろ?」  思わず、柊翔の上着を掴むと、俺の方からキスをした。 「俺、柊翔がいてくれるなら……なんだって、我慢できる」  ジッと柊翔の瞳を見つめた。俺の思いが、ちゃんと柊翔に届くようにと。柊翔が思い切り抱きしめてくれる。この温もりがあるなら、俺は大丈夫だって、自分に言い聞かせる。 「何があった?」 「それより、柊翔、模試は終わったんだよね?」 「要、俺のことよりも、お…」 「柊翔のほうが大事だっ!」  俺が強く言ったのが、柊翔には驚きだったようで、びっくりした顔をした。 「大丈夫だよ。ちゃんと試験は受けてきたから」 「でも、すごい数のメッセージがあったから」 「ああ、休憩時間のたびに、打ってたから」 そう言って、顔を赤らめる。 「……なんで?」 「おじさんから、なんか慌てたような留守電が入ってて」 「……」 「具体的なことは、何も言わないし。なんか、要に悪いことをした、とか、連絡がとれない、とか。」 「……」  柊翔の話を聞いているうちに、顔が歪んでいく。それに気づいた柊翔が、真剣な顔で聞いてきた。 「本当に、何があった?」

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