44 / 95

3.二人だけのクリスマス?(2)

「あの部屋は気に入らないのかい?」  忙しい宇野さんに、わざわざ時間を作ってもらって、学校の近くの喫茶店に入ってる。時々、柊翔と来ている、ちょっと古い感じの喫茶店。  スーツ姿の宇野さんが、コーヒーカップを持ってる姿が渋くて、この店にも似合ってる。一方の俺は、宇野さんが相手だと、なんだか浮いてる気がする。他の人から見たら、俺たちはどういう風に見えるんだろうか。教師と生徒?さすがに、親子には見えないだろう。俺と宇野さんじゃ、まったく似ていないし。  俺はカフェオレの入ったカップを手にしながら、宇野さんに苦笑いする。 「……一人で住むにはちょっと」 「まぁ、高校生の君には、だいぶ贅沢な部屋かもしれないね」  そんな俺を、クスクス笑いながら見ている宇野さん。 「なんか、広すぎて……余計に一人を実感してしまうというか」 「てっきり、鴻上くんが入り浸ってるのかと思ってたけど?」 「っな!?い、入り浸ってなんかいませんよっ!?」 「そうなの?」 「……たまにしか」  実際、受験勉強で忙しくなってきているから、たまにしか来ない。だから、余計にあの広い部屋は寂しく感じる。 「そ、それに、先のこと考えて、分相応なとこに住んだ方がいいかと思って」 「……少し高めのところに住む、くらいのほうが気合いが入っていいんじゃないの?」  少し意地悪そうに言う宇野さん。 「あれは、『少し高め』というのじゃないでしょうに……それに、金もないのに、それが普通の感覚になったら、まずいでしょ」  情けないけど、それが現実。その上、自分で働いて稼いでるわけでもない。 「亮平さんは気にしないと思うけどなぁ」 「俺が気にするんです」  少し、俺の方が意地になってるかもしれないけど、亮平に頼りっぱなしは嫌なんだ。 「……わかったよ。どこか適当なアパートでも見つけよう。保証人は、お父さんの名前を使わせてもらうよ。まぁ、その辺の話も、私の方からしておくから、君は心配しなくていい。」 「……色々、本当にすみません」  宇野さんにペコリと頭を下げてから、もう一度カフェオレを口にする。そんな俺を、宇野さんは優しい顔で微笑みながら見ていた。

ともだちにシェアしよう!

この小説を読んだ人におすすめの作品

幼馴染の哉太と千尋。キスやその先はするのに曖昧な関係。千尋が彼女と別れてからギクシャクしはじめて…
29リアクション
16話 / 36,402文字 / 128
2018/2/11 更新
過去二人の男に飼育されていた主人公。平穏な日常を送っている最中再び彼らが現れて…」(完結)
975リアクション
165話 / 53,907文字 / 159
2018/7/2 更新
コンビニバイト中に出会った顔のきれいな男はやたらと自分にちょっかいをかけてくる
3リアクション
2話 / 9,935文字 / 40
2018/9/2 更新
男だけと先生がすき
1話 / 2,234文字 / 20
2019/5/29 更新
幼なじみと晴れて両思いになったものの、学校バレに幸彦の難儀な姉と親バレにどうなることやら
33リアクション
20話 / 35,499文字 / 12
2019/8/3 更新
雪って嫌いなんだよ。だって、手のひらに落ちてきたかと思ったら、直ぐに溶けて消えちゃうじゃん。
3話 / 6,563文字 / 0
2019/12/29 更新