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3.二人だけのクリスマス?(2)

「あの部屋は気に入らないのかい?」  忙しい宇野さんに、わざわざ時間を作ってもらって、学校の近くの喫茶店に入ってる。時々、柊翔と来ている、ちょっと古い感じの喫茶店。  スーツ姿の宇野さんが、コーヒーカップを持ってる姿が渋くて、この店にも似合ってる。一方の俺は、宇野さんが相手だと、なんだか浮いてる気がする。他の人から見たら、俺たちはどういう風に見えるんだろうか。教師と生徒?さすがに、親子には見えないだろう。俺と宇野さんじゃ、まったく似ていないし。  俺はカフェオレの入ったカップを手にしながら、宇野さんに苦笑いする。 「……一人で住むにはちょっと」 「まぁ、高校生の君には、だいぶ贅沢な部屋かもしれないね」  そんな俺を、クスクス笑いながら見ている宇野さん。 「なんか、広すぎて……余計に一人を実感してしまうというか」 「てっきり、鴻上くんが入り浸ってるのかと思ってたけど?」 「っな!?い、入り浸ってなんかいませんよっ!?」 「そうなの?」 「……たまにしか」  実際、受験勉強で忙しくなってきているから、たまにしか来ない。だから、余計にあの広い部屋は寂しく感じる。 「そ、それに、先のこと考えて、分相応なとこに住んだ方がいいかと思って」 「……少し高めのところに住む、くらいのほうが気合いが入っていいんじゃないの?」  少し意地悪そうに言う宇野さん。 「あれは、『少し高め』というのじゃないでしょうに……それに、金もないのに、それが普通の感覚になったら、まずいでしょ」  情けないけど、それが現実。その上、自分で働いて稼いでるわけでもない。 「亮平さんは気にしないと思うけどなぁ」 「俺が気にするんです」  少し、俺の方が意地になってるかもしれないけど、亮平に頼りっぱなしは嫌なんだ。 「……わかったよ。どこか適当なアパートでも見つけよう。保証人は、お父さんの名前を使わせてもらうよ。まぁ、その辺の話も、私の方からしておくから、君は心配しなくていい。」 「……色々、本当にすみません」  宇野さんにペコリと頭を下げてから、もう一度カフェオレを口にする。そんな俺を、宇野さんは優しい顔で微笑みながら見ていた。

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