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3.二人だけのクリスマス?(7)

 柊翔に会えるのは、嬉しい。  嬉しいんだけど……嬉しいんだけど……柊翔に色々言われそうなのが予想出来てしまう。それが少しだけ嫌、というか面倒だなって思ってしまう。  駅の改札には、案の定、柊翔がむすっとした顔で待っていた。 「わ、わざわざ、よかったのに」  柊翔に駆け寄ると、ガシっと肩を組まれて、歩き出す。 「メシは?」 「食べたよ」 「どこで」 「えと……バイト先?」  柊翔が、クンクンと俺の頭のあたりの匂いをかぎだす。 「肉?」 「えと、バイト先がステーキハウスなんだ」  まだ、人通りのある通りなのに、柊翔の顔が近い。 「ちょっ……近いですって」  俺の方は恥ずかしくて胸元を押して離れようとしてるのに、逆に引き寄せてくる。 「……なんで教えてくれなかった?」 「いや、だって、こんなにすぐに決まるとか思わなくて。決まったら教えようとは思ってたんですって」  俺の言い訳に、あんまり納得してない顔の柊翔。 「だったら、今度、おじさんたちと食べに来てくださいよ」 「……行ってもいいの?」 「し、心配なんでしょ?」  柊翔のことだから、心配してくれてるんだろうって、わかってる。  帰り道の途中のコンビニに寄って、俺の家まで、一緒に歩く。人通りがないことをいいことに、俺たちは、何を話すでもなく、手を繋ぎながら歩いた。こうして歩く時間は思いのほかに短い。 「ありがとうございます」 「ん……」  家の前までくると、なんとなく離れがたくなるのは、どうしようもないことで。握ってる手を離さなくちゃいけないのに、強力な磁石みたいに、手を離せない。 「……明日もあるんですから」 「わかってる」  口先では、柊翔を心配してるけど、俺の心の中は、帰したくない気持ちが渦巻いていて。そんな我儘で、柊翔を困らせちゃダメだって、ちゃんとわかってる俺もいる。 「……キスしていい?」  玄関ドアの前で、俺の耳元で言う柊翔に、拒めるわけがない。周りに人がいないか、気になりつつも、コクリと頷くと、柊翔は俺の顎を上げて、優しく唇を重ねた。

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