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3.二人だけのクリスマス?(8)

 土曜日は、初めてのランチタイムで、それがこんなに混むものだとは思いもしなかった。 「な、なんで、こんなに混んでるんですか?」  カウンターに同じタイミングで入った山瀬さんに、聞いてしまう。だって、二日目だっていうのに、ここまで忙しいのは、さすがに怖いというか。 「いや、うちの土日はこんなもんよ?」  あっさり言ったかと思ったら、すぐにフロアに戻っていく。あっけにとられながら、「できたよっ」とキッチンからの声に、慌てて受け取って、テーブルに運ぶ。 「がんばれ、新人」  そう言って、脇を通り抜けて、俺なんかよりもはるかに身体のでかい男の人が、両手に重そうなステーキの乗った木製のステーキ皿を運んでいく。筋肉ムキムキのこの人は、大学三年生の笠間さん。お客さんと、楽しそうに会話をしている姿を見ると、すごいなぁ、と思ってしまう。 「ほら、次の運んで」  中務さんから声をかけられるたびに、びびってしまうのは、山瀬さんの話のせい、というのは否定できない。できるだけ、そんな風に見えないように努力はしてるけど。  ランチタイムはあっという間に過ぎて、お客さんがひくと、俺たちのほうのランチタイムが始まる。食事をしながら、久しぶりにガッツリ食べていることに気が付いて、少しは身体に肉が付くかな、と、思っていると。 「新人、ちゃんと食べてるのか?」  隣に座ってた笠間さんが、見下ろしてきた。ほんと、この人デカイな。亮平よりもデカそうで、百九十センチくらいありそうだ。 「た、食べてますっ」 「なんか、細っこくてなぁ。ちゃんと食わないと、育たないぞ?」  ガハハハ、なんて、豪快な笑い声を頭の上から降らせられて、違う意味でビビってしまう。 「まぁ、まだ高校1年生だから、これからだよね」  ニッコリ笑っているのは、正面に座ってる中務さんで、ついつい柊翔とダブってしまって、なんだか恥ずかしく感じてしまって、あまり顔を合わせられない。 「あはは、そ、そうですね」  そう言いながら、俺はどんぶり飯をかき込んだ。  ディナータイムまで時間があるので、休憩時間に自分のお店での格好を撮って、柊翔に送ろうと、店の前に出た。昼間のこの時間帯は、近くのショッピングモールから流れてくる人が多いけど、さすがに暗くなってからじゃ、うまく撮れる自信はない。どんな店なのかも、柊翔に教えたかったし。店の入り口を背景に、こんなもんかな?と、スマホをのぞきこみながらカメラの位置を決めようとしていると、 「何々?一緒に撮る?」  俺の背後に、笑顔の中務さんが覗き込んできたのが見えた。 「え、えぇぇっ!?」  思わず、振りむいたとたん、俺のおでこ(というか、ほぼ眉のあたり)に、中務さんの顔面に直撃した。 「っってえぇ!?」 「す、すみませんっ」  なんだか、星がチラチラと飛んだ気がする。
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