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3.二人だけのクリスマス?(10)
***
予備校の休憩時間に、教室の外に置いてある椅子で、一人携帯を見ていた俺。要から来たメッセージを見て、一人にやけていると、よく同じ授業を受けているT高校の如月 が覗き込んできた。
「なになに、彼女から?」
T高校は県で一番の進学校で、俺たちの高校と比べると、かなり偏差値は高い。当然のように東大進学率も高い。俺の中では、T高校に行くような奴は、すごい真面目そうなのばかりなイメージだったのに、如月のことを知ってからは、ちょっと印象が変わった。茶髪でチャラい感じで、なかなかのイケメン。こいつ、大丈夫なのかよ?と思う様な外見なのに、いつも予備校での模試では必ず上位に入ってるらしい。講師たちからも、可愛がられている姿をよく見かける。
「いや、後輩から」
パーソナルスペースが狭いのか、距離感が近くて馴れ馴れしい感じに、イラっとすることも、たまにある。悪いヤツではなさそうだけど、なんだか、どこか気の許せない。だから、こいつには要の写真なんて、見せたくないと思ったのに。
「なに~、女の後輩ちゃん?見せてよ」
鞄にしまう直前に、携帯をとりあげられた。
「おい、やめろってば」
「いいじゃん。別に~」
なんだ、やっぱ男かよ~、とか言いながら、俺に携帯を返そうとした時、如月の手が止まった。
「こいつ……」
如月の目が大きく見開いて、画面の要に釘づけになる。
まさか、要のことを知ってるのか?そんな印象を受けたものの、如月の要を見る目つきから、嫌な予感しかしない。
「返せよ」
如月から携帯を奪い返すと、ちょうど、休憩時間が終わり、講師が教室に入ってくるところだった。
「あっ……」
如月は何か言いたげだったけど、俺は、それを無視して、自分の座席に向かった。
授業中は、如月の反応が気になりすぎて、全然集中できなかった。その上、要に返事もせずに授業に入ってしまったことが気付いて、若干凹む。今日はさっそく親父たちと、要のバイト先に行くつもりだったのに。それすら連絡してなかったのを思い出して、急に行ったら、怒られるかな、と、少しだけ弱気になる。
まぁ、終わったらすぐに連絡しよう。
気を取り直しながら、俺は、一心に黒板の文字をノートに写すのであった。
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