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3.二人だけのクリスマス?(15)
このまま、要の部屋に泊まってしまいたい欲求にかられる。
でも、泊まってしまったら、俺は自分の欲望を、止められる自信はない。特に、最近、要の醸し出す雰囲気や、些細な動きにまで、色気を感じていしまうのだ。それが、俺だけじゃなくて、他のやつらにも気づかれるんじゃないかって思うくらいに。そんな不安な気持ちは、要は気付いてもいないだろう。
人通りがきれた瞬間に、細い路地に、要を引っ張り込んだ。
「し、柊翔?」
驚いた顔で見る要が、愛しすぎて、優しく唇を重ねる。だけど、それだけでは、物足りなくて、段々と止められなくなる俺。
「んっ……はっ、はっぁ、し、しゅう……とっ!」
要が、俺の腕にすがりついてくる。要の腰のあたりを、ぎゅうっと抱きしめる。このまま、もっと要を貪りたい。俺の中の獣の欲求を止められそうもない。
「んっんんっ……」
要が、俺の胸のあたりを押してきた。
「だ、だめっ……でっ……すっ」
重なる唇の隙間から、甘く漏れる要の声に、ゆっくりと、唇を離す。細く光る糸が、俺たちを繋ぐ。
「ど、どうしたんですか?」
赤く上気した顔で、俺を見つめる要に、また、突き上げてくる欲望。それを飲み込むように、要を抱きしめた。
「ごめんっ」
だめだ……なんか、俺、一人で焦ってる。
「柊翔?大丈夫ですか?」
要の心配そうな声が、俺の耳をかすめる。もう、それが、俺を煽ってるっていうのに。
目の前の要は、顔をほのかに火照らせながら、少し心配そうな顔で覗き込んでくる。
「……要が最近、モテてるみたいで心配」
思わず、子供みたいに拗ねたように言ってしまう俺。自分でも、恥ずかしくなって、思わず、顔をそらしてしまう。そんな俺に、要は驚いたような顔をする。
「な、そんなこと……」
「あるだろ?さっきみたいに」
「……だって、あれだけじゃ」
「……店にもいるんじゃないか?」
確信はもてないけど、疑惑はあるわけで。チラッと見ると、言葉を失ってる要。
「……否定しないってことは、やっぱり……あいつ……」
「え?あ、あいつって?」
「……俺と似てるやつ」
その言葉だけで、顔をひきつらせる要。わかりやすすぎだっての。
「い、いや、あの人は、リーダーみたいな人で、俺が一番年下だから、きっと、気にかけてくれてるだけっていうか」
要の、この慌てっぷりは。
「それだけじゃないな」
顔を顰めながら、要の両頬をひっぱった。
「ひたひでふ~」
目をうるうるさせてる要を見たら、思わず、笑ってしまって、手を離してしまう。
「もう、ひどい。」
「かわいい要が悪い」
「な、何言ってるんですかっ」
こういうリアクションしてくるから、ついつい意地悪したくなるんだよな。スッと要の頭の後ろに手をやって、優しく抱きしめる。
「……何かあったら、ちゃんと言えよ」
「……はい」
素直に返事をする要。
「ああ、帰りたくないなぁ」
見上げた空には、輝く星なんてものは見えなくて、白い息だけが、昇っていく。
「帰したくないな……」
小さくつぶやく要の声が、俺の心を捕まえる。
「……じゃあ、泊まってもいい?」
赤くなっている耳に、唇をよせて囁く。
俺だって、一緒にいたい。
要が小さく頷く。
要の手を握りしめると、強く引っ張りながら、俺たちは足早に要の部屋へと向かった。
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