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3.二人だけのクリスマス?(25)

「要……」  背中から優しく抱きしめてくれる柊翔。その温かさに、素直に包まれていたくなる。そんな幸せな空気に忘れそうになるけど。 「あっ!プレゼント、用意したんですっ!」  柊翔の腕から逃れて、バックの中をあさりだす。 「俺に?」 「当たり前じゃないですか」  だって、そのためにバイトもしてたんだし。セクハラされても、がんばったんだし。 「あ、あった」  学校の帰りに、駅ビルに入ってるアクセサリーの店で見つけたんだ。シルバーにターコイズの石のついたバングル。黒いビロードの袋に入ったそれを、受け取ってくれた柊翔の顔が、すごく嬉しそうに微笑んでくれるから、俺だって、嬉しくなる。 「……いいね」  そう言って、腕につけたのを眺めてる。やっぱり、柊翔に似合う。 「もしかして、バイトしてたのって、これのため?」 「……それも、ありますけど。それだけじゃ、ないですからね?」 「フフフ、そっか。ありがとう」  そう言うと、今度は柊翔が自分のバックをあさりだした。 「柊翔?」 「俺だって、ちゃんと用意したんだよ?」  バックから出てきたのは、シンプルな包装紙でラッピングされた小さな箱。 「要みたいに、アクセサリーにしとけばよかったかなぁ」  俺の手のひらにのったそれは、予想したよりも重みがある。綺麗に包装紙を剥がすと、ブルーの箱。あけてみると、薄いブルーの色をした…… 「香水?」 「ああ。俺が使ってるのと、おそろいの」  ボトルキャップを開けると、ふわっと爽やかな香りが漂う。でも、柊翔の匂いとも少し違う? 「つけてみなよ」  柊翔はそう言うと、ボトルから少しだけ指につけて、俺の首筋をなぞる。それだけで、身体がビクッと跳ねるように反応してしまう。 「香水は、段々と匂いを変えていくんだって。それに人によっても変わるらしいよ。要はどんな匂いになるんだろうな」  首筋に鼻をよせながら、しゃべらないでほしい。熱い息が肌に首筋に触れて、それで身体がゾクリと感じてしまう。いつの間にか、柊翔の力強い腕が腰をギュッと抱きしめている。 「同じ香水だけど……これは、要の匂いだね……」  そのまま首筋、頬、瞼へと、口づけが落ちていく。最後に唇を何度も何度も、優しく啄む。それだけで身体が火照ってくる。 「……柊翔、家はいいの?」 「今日は帰らないよ……」  柊翔の言葉がすごく嬉しくて、強く抱きしめかえす。互いの醸し出す甘い匂いの中に、俺たちはゆっくりと溺れていった。

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