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第5話
あれから数週間が経ち、僕は在り来りだが、平和で充実したこの毎日が大好きになった。
同室の橘理久 とは毎朝一緒に登校して色んな話をしているし、陽とは先週の休日に街に遊びに行って、ゲーセンで白熊のぬいぐるみを取ったりもした。
勉強も順調で、クラス仲も良好。
浜辺先輩が言ったとおり、この学園の人達は優しい人ばかりだったから過ごしやすかった。
「あ、理久じゃん!」
「陽と琉生」
この日のお昼も、いつも通り陽と理久の3人で食堂へ向かった。
僕と陽は1組で、理久は3組。
気さくな性格の理久は、すぐに陽とも打ち解けて、クラスは違えどいつも一緒にいるのが当たり前になっている。
それが凄く嬉しかった。
「あーマジで腹減った」
「今日の日替わりハンバーグだって」
「マジで!?早く行くぞ!」
「あ、走んなよ陽!琉生も急げって!」
「もう、待ってよ2人とも!」
ゲラゲラ笑いながら食堂につくと、僕達はそれぞれ食券で食べたい物を買って、列に並んだ。
全校生徒の殆どが利用するこの食堂は、学園創立時からある大きな食堂で、生徒達の憩いの場にもなっている。
先に食事を受け取って席を探しに行った陽を、理久と2人で後から追いかけた。
「わりぃ。我慢できなかった」
「ふふ、いいよ。美味しそうだもん」
まぁ、着いたら陽が大好物のハンバーグにがっついてて笑っちゃったけどね。
ちなみに僕は塩ラーメン、理久は親子丼大盛りにざるうどんと唐揚げを3個頼んだ。
「相変わらず、理久はよく食べるね」
「デザートも後で食べる」
「え、マジ?」
「ワッフルか大福で迷ってる」
「真逆すぎない?」
「はっ、そうか。両方食べればいい!」
名案、とばかりに目をキラキラさせながらこっちを向かれると、僕はもう笑うしかない。
陽も陽で、ハンバーグおかわりしに行っちゃってるし。本当によくお腹に入るよね。
そう感心していた時である。
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