5 / 6

第5話

あれから数週間が経ち、僕は在り来りだが、平和で充実したこの毎日が大好きになった。 同室の橘理久(たちばなりく)とは毎朝一緒に登校して色んな話をしているし、陽とは先週の休日に街に遊びに行って、ゲーセンで白熊のぬいぐるみを取ったりもした。 勉強も順調で、クラス仲も良好。 浜辺先輩が言ったとおり、この学園の人達は優しい人ばかりだったから過ごしやすかった。 「あ、理久じゃん!」 「陽と琉生」 この日のお昼も、いつも通り陽と理久の3人で食堂へ向かった。 僕と陽は1組で、理久は3組。 気さくな性格の理久は、すぐに陽とも打ち解けて、クラスは違えどいつも一緒にいるのが当たり前になっている。 それが凄く嬉しかった。 「あーマジで腹減った」 「今日の日替わりハンバーグだって」 「マジで!?早く行くぞ!」 「あ、走んなよ陽!琉生も急げって!」 「もう、待ってよ2人とも!」 ゲラゲラ笑いながら食堂につくと、僕達はそれぞれ食券で食べたい物を買って、列に並んだ。 全校生徒の殆どが利用するこの食堂は、学園創立時からある大きな食堂で、生徒達の憩いの場にもなっている。 先に食事を受け取って席を探しに行った陽を、理久と2人で後から追いかけた。 「わりぃ。我慢できなかった」 「ふふ、いいよ。美味しそうだもん」 まぁ、着いたら陽が大好物のハンバーグにがっついてて笑っちゃったけどね。 ちなみに僕は塩ラーメン、理久は親子丼大盛りにざるうどんと唐揚げを3個頼んだ。 「相変わらず、理久はよく食べるね」 「デザートも後で食べる」 「え、マジ?」 「ワッフルか大福で迷ってる」 「真逆すぎない?」 「はっ、そうか。両方食べればいい!」 名案、とばかりに目をキラキラさせながらこっちを向かれると、僕はもう笑うしかない。 陽も陽で、ハンバーグおかわりしに行っちゃってるし。本当によくお腹に入るよね。 そう感心していた時である。

ともだちにシェアしよう!