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11 休日と病気と可愛いおねだり4
そして訪れた週末、いつもよりも早起きをした碧は、自分の身体に違和感を感じた。下半身が妙にうずうずしている。なんだろうと思いながらトイレに行き下着を下ろしてみた。
トイレに行くときくらいしか意識しない分身がパンパンに腫れ上がって大きく膨らんでいる。
「なにこれ……」
こんなの、今まで見たことがない。
もしかして、今まで家族に言われていたという病気はこれだったのか。
「やだ……治ったんじゃないの?」
触ると余計に膨れ上がるそれが怖くて、碧は泣きそうになりながら「早く薬を飲まないと」とそれを探そうとし、保管場所は一輝しか知らないのに気付き、慌てて寝室へと戻る。
「一輝さんっ、起きて!」
仕事の疲れが残りぐっすりと眠っている一輝を揺すって起こす。
「お願い……起きてぇ」
「ん……どうしたんだい、碧くん」
ぐったりしながら薄目を開ける一輝に、涙ながらに訴えた。
「薬、グルゴーファ出して。身体が変なの!」
「……どこがっ!」
ガバリと起き上がった一輝に、腫れ上がったものを見せる。
「どうしよう……早く薬を飲まないと爆発しちゃうよぉ」
病気が良くなったと浮かれていたのが間違いだった。本当はちっとも良くなっていないどころか、薬を減らしたせいで変調が出るなんて……。こんな身体では新婚旅行や幸せな結婚生活なんて夢のまた夢だ。
碧は啜り泣きながら一輝にしがみついた。
「どうしよう……病気治ってなかった」
「あ……その、なんだ。落ち着いて、とりあえず泣き止もうか、碧くん」
「でもっ!」
「大丈夫、大丈夫だからね。これは病気のせいじゃないから」
「……そうなの? でもこんなに大きくなるなんておかしいよっ!」
自分を落ち着かせるための嘘ではないかと訝しむ。排泄するための場所がこんなに腫れ上がるなんておかしすぎる。
そう訴えるのに、一輝はなぜかそこから目を反らしてばかりだ。そして大きく息を吐き出すとやっと碧の顔を見てくれた。
「これはね、朝勃ちといって、男の子なら当たり前に起こる生理現象なんだ」
「せいりげんしょう?」
「そう。碧くんは今まで病気のせいで、男の子が思春期に通る道をやっと歩き始めただけなんだ」
「……皆こんなになっちゃうんですか? それじゃみんな死んじゃうの?」
「死にはしないよ。大丈夫」
「……良かった。……でもこれどうしたらいいの?」
分からないことだらけで、不安と恐怖が押し寄せてくる。パニックになった碧は自然と一輝にしがみつき助けを求める。このままにしたら絶対おかしいことになりそうで怖い。恐怖に一旦引いた涙がまたポロポロと零れ落ちてくる。
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