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12 新婚旅行と芸術と初めての夜2
そうとも知らずに、一輝は誰とも知らぬグルゴーファ開発者を神のように崇めるのだった。
彼らに知られたら殺されるとも知らずに。
すっきりした下半身で精力的に仕事を進めていく。
冬季に新発売する商品のCM撮影に立ち合い、にやけた顔で終始碧との週末を思い出していた。
(可愛かったな、私の妻は)
おねだりが日に日に上手になるばかりか、その内容がなによりもいい。
『また大きくなっちゃった……一輝さん助けて』
お願いとばかりに抱き着き、キスをしてくるのだ。そして小ぶりな分身を擦りつけてきてすべてを一輝に委ねるのだ。甘い声の喘ぎは心地よく一輝を煽ってくる。
そして一輝が興奮してしまうと、碧が嬉しそうに一輝のものをたどたどしい手つきで刺激してくれるのもまた良い。
ただお互いのものを扱きあっているだけでこんなにも満たされるなんて。
分身への刺激だけでこんなにも可愛いのに、もっと凄いことを教えたらどうなってしまうのだろうか、可愛い妻は。もっともっと淫らになるのだろうか。もっともっと煽情的になるのだろうか。それを想像するだけでもう今までの我慢と努力が報われたようなものだ。
「あれ、部長さん、なんか随分とだらしない顔になっちゃったね」
「モデルちゃん、それ大声でいっちゃだめだよ。部長は新婚なんだから」
「えー結婚したんだ。奥さんどんな人?」
「あ……それは……、可愛い感じ、かな」
「いっがーい、部長さん綺麗系が好きなんだとばっかり思ってた」
「そうだよねぇ」
一輝が溺愛している妻が幼いとは二次会に参加した部下の誰も口にしなかった。
結婚できる年齢なのに見た目も雰囲気もひたすら幼く、遊びが派手だった人が最後に行きつくのは光源氏の道かと社内で囁かれている。その妻のおかげで最近部長の機嫌がいいので助かっているのだが。
どんどん伸びてしまう鼻の下を見たスタッフたちが遠巻きにしているとも気付かず、映像を確認しながらなぜかモデルの顔を碧に脳内ですり替え、もっと可愛さをアピールするための注文を出すのだった。
繁忙期をなんとか乗り切り、前年度よりも少し多い利益を計上できた安心感に浸っているともう九月になった。
九月。
それは待ちに待った新婚旅行!
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