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14 帰国と危険と家族計画1

 甘いばかりの新婚旅行を終え帰国した一輝と碧は一晩自宅でゆっくりムフフと過ごした後、旅行土産を持って菅原家へと向かっていた。愛車の助手席に少し色疲れした碧を乗せての短いドライブに、なぜか一輝は鼻の下が伸びっぱなしだった。  それもそのはず。快楽にとことん弱い碧はすっかり一輝とのセックスを気に入り、二人だけの時間に求めてきては教えることすべてを快楽に変え可愛く身悶えるのだ。  どこまでも淫らになる妻の艶姿に、男子の本懐を遂げた気持ちになる。  そして今朝も……。思い出すだけで鼻血が出そうだ。 (エッチな碧は可愛すぎる!)  色事に対して予備知識がないだけに、なんでも素直に受け入れ感じるものだから、ついつい色んなことを試してしまう。果たしてどこまで受け入れ悦ぶのかと。  ウィーンでの芸術と肉欲の日々がそこで終わりではなく、これから死が二人を別つまで続くのかと思うと、人生が薔薇色に輝いてくる。  気を緩めるとにやけてしまう己にカツを入れながら、慣れた手つきで菅原家までの道を走っていく。 「大丈夫かい、碧」  二人きりの時だけ呼び捨てにするのも少し慣れた。そのたびに少し照れながらも嬉しそうに微笑む妻の顔には、未だに慣れずハートを打ち抜かれるが。 「まだ一輝さんが入ってる感じしますけど……大丈夫です」  腰をモジモジさせながらの淫らな告白。これが一番一輝のハートを打ち抜くのだ。なにも知らなかった碧の口から少し卑猥感のある言葉が出る、この真っ白な存在を汚す暗い喜びがたまらない。癖になりそうだ。  今まで知らなかった性癖でもあった。  当たり前か。遊んでばかりいるような、性に奔放な人種しか傍にいなかったのだから。ここまで奥手で純粋な人間は初めてだ。それが自分の妻である。この喜びをどう表現したらいいのやら。  自然と伸びる鼻の下を意識してずり上げ、爽やかな好青年な夫の仮面を着ける。 「無理はしないで。挨拶だけしたら今日は帰ろう」  帰ったらまたこの可愛い妻を存分に可愛がろうと下心込みで提案する。 「実家に行ったら、次はパパさんとママさんのところにも行かないと」 「……それは今度でもいいんじゃないかな?」 「でもママさんへのお土産は日持ちしないから、早めにお渡ししたほうが……」  天羽家のことなどすっかり忘れていた。  あの口うるさいクソ爺など放っておけと言いたいが、母のことを出されるとさすがの一輝も弱い。やはり生物、特に男は産み育ててくれた人間には強く出れない性質を持っている。  ふと、碧もそのうち母になるのかと思うと不思議な気持ちに囚われる。

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