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15 発情と番と幸せと8

 薬を取りに行こうとする一輝を引き留める。 「早く飲まないと……」 「だめ……まだ……して」  一輝の蜜をたっぷりと受け止めたはずなのに、まだ足りない。  もっと一輝に抱かれていたい。  淫らに足を開き、一輝を受け入れていた場所を露にする。たらりと中の蜜が零れ落ちる。 「まだ……欲しいよぉ」 「……まったく、私の奥さんのワガママは可愛いな」  余裕ができた一輝はふわりと笑い、顔を近づけてきた。  甘く淫らなキスを受け入れる。  また気持ちいいことが始まるんだと期待に震えながら。 □■□■□■□■□■□  五年後。 「新居へようこそ」  満面の笑みで来客を出迎えた一輝は、それはそれは幸せそうな表情だ。その足元にはまだ幼さの残るドーベルマンとダルメシアンが頑張ってお座りをしている。  婚約の段階から話題に上がっていた二人の新居がとうとう完成し、今日は菅原家一同を招いたお披露目会だ。  AMOUビバレッジから程近い場所に建てられた一軒家は、碧が当初から夢見ていた都内の美術館に似た西洋様式となっている。  出迎えてくれたのが憎い弟婿であったことに、玄と梗は苦虫を噛み潰したような顔になる。 「お義兄さん方、随分と遅かったんですね」 「……仕事が立て込んでいてな」  嫌味かと怒鳴りたくなるのを我慢しながら、室内へと入っていく。抑えめなロココ様式の室内は、なるほど絵画を飾るのによく似合っている。  兄たちは「さすが碧は趣味がいいな」と呟き、心の中で夫の趣味は最悪だがと毒づく。なんでこんな軽薄下半身緩めな男がいいのか。しかも結婚してから五年もの間、離婚話どころかケンカ一つせずオシドリ夫婦などと呼ばれているのが気に食わない。  一輝がとことんまで気に入らない兄たちは、案内する彼の言葉に耳を傾けず、そそくさとリビングがあるであろう場所に向かうと早々に愛しい弟を見つける。 「碧、会いたかったよー」 「元気だったか、なかなか会いに来られなくてすまなかった」  久しぶりに会った可愛い末弟は、二十歳を超えているのに未だ幼い印象が残るふんわりとした雰囲気を持ったまま、内装に合わせたソファに座っていた。 「兄さんたちも来てくれたんだ」  フワリと微笑まれ、それだけで兄たちの相好が崩れる。  ロココ調の長ソファに座る末弟の元へと近づこうとするが、すぐさまよく訓練された犬が二人の行く手を阻み、その間に憎い男が弟の隣に腰かける。 「あっ」  なぜおまえがそこに、さも当たり前のような顔をして座るんだ。しかも馴れ馴れしく碧の腰に手を回して……。この場に碧や第三者がいなければ思いっき殺処分していたことだろう。  二人が番になったことで憤怒のあまり失神した兄たちである、可愛い末弟を奪った一輝が未だに憎くてしょうがなかった。

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