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 ピンクスライムは、全身がピンク色のゼリー状の生き物だ。  その体は催淫効果があるという特徴を持っているが、見た目はぷるんっと艶ののったゼリーでしかない。  に、肉棒……オレの肉棒……。  オレは愕然とした。  想像してみて欲しい、行為の真っ只中、体も火照り――ピンクスライムの体が火照ることはないが――気分も最高潮に達したとき。  ここぞ! というときに、モノが使い物にならない衝撃を。  その絶望感たるやいなや、気を失いそうになるほどだった。  肉棒がなくて、どう突っ込めっていうんだよ!!!!!  返せ! オレの相棒を返してくれ……! 赤黒くて、見た目は若干グロテスクかもしれないが、勃起時の硬さと太さで、ありとあらゆる種族を悦ばせてきた名器だったんだぞ!?  あぁ、最高だと思ったのに。ピンクスライムに転生して、これほどの幸福はないと喜びを感じていたのに。  肝心の肉棒がないなんて……ガッカリだ。こんな仕打ちがあるかよ。今後、一体何を楽しみにオレは生きていけばいいんだ?  意気消沈する中、手慰み程度にしかならないが、ヘビの後孔に入るよう細く伸ばしたゼリー状の体を挿入する。  するとそれだけでヘビは痙攣し、左右一対になったペニスから精液を吐き出した。  トコロテンかよ……。  肉棒を使った結果なら、大いに満足出来ただろうが、オレの気分は晴れなかった。  なのにヘビの精気を吸収した、ピンクスライムの体には活力が漲る。  く、悔しい……でも元気出ちゃうっ。  体から放出される目に見えない精気が、精液には凝縮されているので仕方ない。  ふぅ……と息をつく暇もないまま、全身にヤル気が満ちたオレは、くったりと体を投げ出しているヘビは放置して、次の獲物を探しに行くことにした。  結果――本日だけでヘビ、ウサギ、シカ、イノシシとの性交渉に成功しました。  肉棒は使えなかったけど。相手は魔族や人間ですらないけど。  だって仕方ないだろ、森には魔族はおろか人間もいねぇんだから! 視界に入る生物に、片っ端からゼリー状の体を伸ばすしかなかったんだよ!  昆虫は流石にピンクスライムでも気分がノリませんでした。多分精気を吸収出来たところで大した摂取量にならないからだろう。  色々相手して驚いたのは、動物と比べてもヘビの精気量の方が多かったことだ。  精液自体は少ないのだが、そこに内包された精気は素晴らしいものがあった。  伊達にペニスが二つあるわけじゃないんだな。見直したぞ、ヘビ。  肉棒がない寂しさに、心にはポッカリと穴が空いてしまっているものの、お腹は満腹になったので、目覚めた場所に戻ってきた。  すると見覚えのあるヘビが、オレを待ち構えているではないか。

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