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あまりにもおっさんの顔が汗やヨダレやらで汚いので、流してやろうと水を汲みに行くことにした。
ただ水をピンクスライムの体内に入れてしまうと、水がたちまち催淫効果のある媚薬になってしまうので、器になるような大きい葉っぱを採取する。
採取した葉っぱを折ることぐらいは、このゼリー状の体でも出来るからな。
水は、昨日動物を犯しまくってたときに、水場を見つけたので問題ない。
オレが葉の器を持って水場に姿を現すと、何故か動物たちがすり寄って来た。
何だオマエら? また犯されたいのか?
基本的にピンクスライムは、他の生物を殺すことがないので、動物や魔物からは無害認定されている。ヤツらがオレを襲ったところで、催淫効果には抗えないしな。
それにこんな森の中で、おっさんみたいにアンアン言い出したら、他のヤツらの標的になるだけだ。おっさんが無事だったのは、周辺に人間を襲う魔物がいなかっただけに過ぎない。
オレが散策した限りじゃ、この辺には動物しか見当たらなかった。
葉の器に水を汲んでいる合間にも、見覚えのある動物が一匹、また一匹と近づいてくる。オマエらは、どれだけ快楽に飢えてるんだよ。
ピンクスライムがこれほどまでに動物から懐かれるとは思わなかった。
人間や魔族に見つかったら即行で捕獲されて売り飛ばされるから、生態に関しては案外謎が多い。
しかし悪いな、オレは今腹いっぱいなんだ。
動物たちの相手をしている余裕はないので、水を汲んでさっさと離れる。
戻るとおっさんは目を覚ましていた。
「…………」
どこかまだぼんやりして座り込んでいるおっさんに水を運ぶ。
顔にぶっかけてやろうかと思ったんだが、起きてるなら好きに使えと、葉の器をおっさんの前に置いた。
「君……大きくなってないか?」
おっさんは水より、オレのことが気になるらしい。折角汲んできたのに。
そんなに見つめられてもピンクスライムはこれ以上赤くなったりしないぞ。
……おっさんが気にするほど急激に体積が増えた感じはしないんだが、オレが思ってる以上にデカくなってるのか? じゃなきゃ、おっさんもここまで観察してこないだろ。
「…………もしかして、異能種か?」
おう? オレ異能種だったのか?
言われてみればそうかもしれない。ストンと腑に落ちた答えに、頷く首はないが、代わりに体がぷるんっと弾んだ。……うん、オレやっぱ大きくなってるかも。
異能種は、突然変異で生まれる特別な個体だった。
通常の魔物よりも体が大きいのが特徴で、それに応じて能力も上がる。
オレの出現時、分裂元になるピンクスライムがいなかったことを鑑みるに、もしかしたら本来分裂するところで分裂出来ず、異能種として生まれ変わったのかもしれない。
しかもオレ自身も分裂することなく、依然として体積を増していっていることから、異能種である可能性は高かった。
……あれ? じゃあオレ、繁殖出来ないの?
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