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 馬上でぷるんっとゼリー状の体を弾ませると、ヘビもシャーと声を上げた。  オレが体を大きく動かしても、このヘビは全く動じないのだから大したものだ。  そんなオレたちを見て、レイが苦笑する。 「どうやら彼は一緒に行きたいようだな」 「自分は反対です、こんな魔物を同行させるなんて!」 「だが、もし彼が体の一部を分けてくれたら、路銀は稼げるぞ?」  うん……? あぁ、オレの体の一部を切り離して、少量だけ売りつけるのか?  ピンクスライムは催淫効果のある媚薬の材料として魔族、人間問わず重宝されている。媚薬はピンクスライムの体を綺麗な水で薄めて作るので、例え少量でも値がついた。  完全に切り離された体に意識が及ばないことは、アッサムに体を飲み込まれたときに実証済みだ。刀剣に分断されたときは、上下どちら側の体も意識出来たことから、切り離される量が関係しているのだろう。  少しなら構わないぞと、レイに答えるように体を上下に揺らす。 「彼も了承してくれているようだ」 「意思の疎通が計れるんですか?」  オレとレイとの間に視線を行き来させながら、アッサムが呆然とした面持ちで口を開いた。 「私も不思議なのだが、どうやらこちらの言葉を理解しているように思えてならない。昨晩は私が寝ている間に部屋の掃除もしてくれたんだよ」 「はぁ……」  どうだ、凄いだろう? とレイは、オレがいかに特別な個体かを語る。どうやらオレがゴーレムの魔方陣を改変したのもバレているようだった。アッサムはただ呆気に取られて頷くだけだ。こら、オレの凄さをちゃんと理解しろ!  ようやく頭が回り始めたのか、アッサムは咳払いするとオレを指差す。 「いいか! 今後、俺にもレイ様にも変なことをするんじゃないぞ!」  えー、それは無理ぃー。  首を横に振るように、ゼリー状の体をウネーッと横に伸ばす。 「……レイ様、これはどういう反応ですか?」 「多分無理なんじゃないか? 彼にとって精気を吸うのは食事と一緒だからな」  流石レイ、よく分かってる!  意思の疎通は万全だというのに、アッサムはレイの返答を聞いて不満そうだ。  ったく、往生際の悪い。 「そんな!? だったら自分はやはり反対です!」 「まぁまぁ。ピンクスライムは生物を殺すことはないのだから。それにもう我々の手で彼を馬から下ろすのは無理そうだぞ?」 「ぐっ……」  何たって物理無効だからな! これほど大きなピンクスライムを売り飛ばすことなく、燃やすのは勿体なくて出来ないだろう!  しかも馬の上には移動済みなので、今オレに魔法攻撃をしたら馬まで巻き添えになってしまう。折角調達した馬を無駄にする度胸はアッサムにはないと見た!  現に悔しそうに唇を噛んでいるからな! 「……何か笑われていそうで、いけ好かないんですが」  おお、アッサムくんもオレのことが分かってきてるじゃないか。

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