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「でも、次の日には解放したじゃないか」
「だってお前、あのままヤリ続けてたら死んでたぞ?」
ピンクスライムが精気を奪い取ることで相手の命を奪えるように、ヤリ過ぎは魔族にとっても人間にとっても毒だった。特にまだ体が出来上がっていない者にとっては。
しかしレイはオレの言い分に納得出来ないらしい。
「だったら……傍に、置いておくだけでも……」
「なんだ、傍にいたかったのか?」
あまりにもぐったりした姿を見せられて、このままでは殺してしまうと慌てて回復薬を飲ませて寝かしつけた。
一緒にいれば、オレのことだからまた手を出してしまうだろうと、後ろ髪を引かれる思いで離れたんだが。
「あぁ、そうか、レイはオレのことが好きなんだったな」
レイの家で聞かされた話を思い出す。
ここでようやくピンクスライムがオレであることに実感が湧いたのか、レイは一瞬にして顔を赤く染め上げた。
ヒゲが綺麗に剃られているおかげで、表情の変化がよく分かる。
身分のある、いい年したおっさんが照れる姿は…………うん、可愛いな。
「わ、わ、悪いかっ!? 自分でもどうかしてるとは思うが、仕方ないだろう! 理性でどうにかなる感情ではなっ……んっ」
腕を背中に回し、レイの唇を奪う。
柔らかい唇を食むと、ぁ……とレイが小さく声を漏らした。空色の瞳が熱を持ちはじめたのを見て、彼を持ち上げ、机に押し倒す。
「す、スズイロ卿……」
「なんだ」
「その……私は、貴方のように、美しさを保ってはいないし……もう、おじさんだ」
「だから?」
「か、構わないのか? こんな年嵩のいった、私でも……」
頬が緩むのを感じ、そのままもう一度レイに口づける。
「何回言えばいい? オレは、ピンクスライムだ。今のレイの体なんてとっくに知ってる。レイが自分で見たことのない場所もな?」
何せ全方位に視点を持てるピンクスライムは、伸ばした体の先をも見ることが出来るのだ。真っ赤に蠢く直腸の内壁を、レイはきっと知らないだろう。
「あ……ぇ……だったら、今までのことも……」
「森でレイが自分の指を挿入したことも知ってるし、ヘビにイカされたことも知ってる。宿屋で味わったオレの張り型はよかったか?」
くくっと笑いながら尋ねると、レイはなんとも情けない顔になった。
「おっさんでも構わない。オレは今のレイを抱きたいんだ」
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