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 もしかしてオレは究極の生命体になってしまったんじゃないだろうか。  まぁ、今はそんなことより――。  いやったぁあああああ! 中出し出来たぁあああああ!!!  死体なのに子種を残せるとか意味が分からんが、重要なのはそこじゃない。  感極まって、先ほどまで身を包んでいた暑さとは別の熱がこみ上げてくる。 「スズイロ……? もしかして泣いているのか?」 「いや……」  ふっ、オレとしたことが、こんなことで涙を見せるなんてな。  目元を拭い、レイが体を起こすのを腕を引いて手伝った。  そこではじめてカストラーナ帝国の国章が入ったマントを汚していたことに気づく。まぁいいか、つけてる本人が気にしていないのだし。  起き上がったレイは疲れを見せているものの、その空色の瞳には生気があった。 「まだ、死にたいか?」  オレの問いかけに、レイはそっと下を向く。  レイだって別に好き好んで死を望んでいたわけじゃないだろう。ただ自分の人生に未来を見いだせなかっただけだ。そんな彼に心境の変化があったことは、先ほど見た瞳が教えてくれた。 「貴方の……スズイロの傍に、置いてもらえるなら」 「今のオレはピンクスライムだぞ?」 「構わない! 私も……肩にいるヘビと同じように、貴方の傍にいたいんだ」  レイの言葉に、呼んだ? とヘビが頭を上げる。……もしかしてこいつも人語を理解しているんだろうか? そんなバカなと思いながら、寝てていいぞと告げれば、またヘビは頭を下ろして目を閉じた。  ヘビが再度眠るのを眺めてから、オレは改めてレイと向き合い、頷く。 「よし! なら魔王になれ!」 「は……?」  ただの……というか、魔王を倒した勇者の国の人間、それも現王の弟が意味もなく魔族領にいるのは不味い。  ならば役職を与えればいいだろう、という考えから導き出した答えだった。  言われた方のレイは呆気に取られているが。 「面白そうじゃねぇか、魔族初の人間の魔王だぞ?」 「いや……それだったら、貴方が魔王になる方が理に適っているだろう。勇者が魔王を討伐したときの報告書は、アッサムに頼んで私も目を通させてもらった」 「それが何だ?」  聞き返すと、レイはふっと息を吐いて笑みを作った。  それはどこか観念したような、力の抜けた笑みだった。 「私は貴方が勇者に議会制を説き、帝国を転覆させるよう、そそのかしたのだと考えているよ」

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