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第13話
新年、最初の日。
ノエルは日勤のため、朝七時に目を覚ました。
ERにはクリスマスも年末年始も関係ない。
むしろ、浮足立った人間たちが羽目を外しすぎて事故や事件が増え、逆に忙しいくらいだ。
キースからの連絡が途絶えた今、ノエルにとってそれは救いだった。仕事に没頭していれば、余計なことを考えずにすむ。
ノエルは顔を洗って朝食を取り、着替えを済ませて朝のニュースをテレビで見た。
それから、いつもの時間に家を出る。
はずだったが、今日は違った。
ベッドの上に置きっぱなしで忘れていた携帯に、メッセージ着信のランプがついていたからだ。
もしかして――!
ノエルは飛びつくように携帯を手に取った。
画面を開いたノエルの目に涙が浮かぶ。
送り主はノエルが焦がれて焦がれてやまない男だった。
『一月十二日
午後七時
スーツ着用のこと』
キースらしい、簡素なメッセージ。
だが、気になることがある。
スーツ着用とはどういうことだ?
時間もいつもより早い。
普通に考えればドレスコードがある場所へでも行くのだろうと思うが、残念ながら自分たちはそういう関係ではない。
だが、理由を尋ねても、教えてもらえるかどうか。
ノエルは迷ったが、問いただすことはしなかった。面倒な奴だと思われたくない。
それにしても、スーツとは。
ノエルは困った。
スーツなど、学会や勉強会に行く時に着る地味なものしか持っていない。それでキースの隣に並ぶのは無理だ。
「買うしかないか…」
溜息混じりに呟く。
取り敢えず仕事に行かねばならないと家を出たノエルは、電車の中ですぐに行けそうなオーダスーツ専門店を検索してみた。
ノエルは背が高いわりに骨格は細めで、モデル並みに足が長い。既製品が合わないということは間間あった。
だが、当然というか新年一日目から営業している店はなく、たとえあったとしても十日までに間に合うとも思えない。
仕方なく、ノエルは翌日から営業が始まる百貨店に行くことにした。
明日から二日間、夜勤をこなせば、その後は非番だ。ゆっくり探せる。
どんなスーツがいいだろうか。
ノエルは心の中であれこれとイメージを膨らませた。
こうして、ノエルはスーツを一着、新調することとなったのだった。
一月十二日、午後六時。
ノエルは家で新しく買ったスーツに身を包んでいた。
紳士服売り場を一周して、気になった店に入って見つけた一着。
遠目からは濃紺の無地のスーツのようだったが、近くで見ると濃紺と深緑の細い格子模様が入っていた。ガンクラブチェックと言うそうだ。
落ち着いた上品さがあり、細めのシルエットがノエルにぴったりだったので即決した。
店員の勧めで、中に黒のボタンダウンシャツを合わせ、首元にはネクタイではなく、赤のシルクスカーフを巻いている。
「…うん、いいかな」
これなら、キースの隣でも見劣りはしないはずだ。
付属のベルトをつければショルダーバッグにもなる黒革のクラッチバッグを持ち、グレーのポロコートを羽織る。どちらもスーツに合わせて買ったものだ。
ところが家を出ようとしたところで携帯が鳴り始めた。母親からの電話だった。
なかなか実家に帰って来ない息子に、主に帰省を促す内容だったが、ノエルは約束の時間に遅れるのではないかと気が気でない。
何とか五分ほどで話を終わらせ、ノエルは慌てて出発した。
黄昏時の冷たい空気が肌を刺す。
点り始めたばかりの白い街灯が照らす中で落ち葉がかさかさと音を立てて、時折、風に巻き上げられて宙を舞っていた。
そんなモノクロームの物寂しい景色も、キースと会えるというだけで何か違って見える。
現金だなと思いながら、ノエルは通い慣れた道を足早に歩いていった。
出がけのハプニングでどうなることかと思ったが、ノエルは無事、指定された時間までにホテルに着いた。
エレベーターに乗って十六階へ。
コートを脱いで腕に掛け、カードキーで部屋へ入る。
キースはソファに座って待っていた。
久しぶりに顔を見られた、ただそれだけで感極まりそうになる。
「時間通りだな」
キースは立ち上がって、ノエルへ歩み寄った。
今日はバーガンディのスリーピーススーツに黒のシャツ、黒のシルクタイをして、珍しくネクタイピンをつけていた。
細いシルバーのピン先には、ノエルの瞳を思わせるような丸型の琥珀がついている。カフスボタンも揃いのものだ。
キースはノエルのコートとバッグを受け取ってクローゼットにしまうと、部屋の外へ出るよう促した。
「どこ行くんだ?」
「上のレストランだ」
ということは、食事するということか。
来る前にクラッカーをつまむだけにしておいて良かったと、ノエルはほっとした。
でも、何故キースはそうしようと思ったのだろう。
繰り返すが、自分たちは一緒に食事を楽しむような関係ではない。
左隣を歩くキースの横顔を見上げるが、何を考えているかノエルには全くわからなかった。
ノエルの困惑をよそに、キースはどんどん歩いていく。
取り敢えず、ついていくしかないと思っていたノエルは最上階のレストランに着いて、思わず目を瞠った。
「うわ、すごい…」
そこは、星空のレストランだった。
全面ガラス張りの暗い店内、その高い天井一面に星空を模した照明が輝いていたのだ。
所々に細い線が引かれ、星座を象っているのが何ともロマンティックだ。
外の夜景と相まって、まるで夜空に浮かんでいるようだった。
テーブル同士の距離が広く、ひとつひとつがスポットライトで照らされているのも、どこか幻想的で。
ノエルが感激していると、そこへフロアマネージャーがやって来た。
「いらっしゃいませ、マクレガー様」
「今日は無理を言ってすまなかったな」
「お気になさらないでください。では、お席にご案内致します」
二人が案内されたのは西側の角の席だった。
ベイエリアから中心街までの夜景が一度に見渡せる、これ以上はない特等席だ。
しかも、パーテーションで仕切られていて、周りが気にならないのが有り難い。
席についたノエルは、とうとう我慢しきれずキースに尋ねた。
「なあ、何でここに?」
キースからの返答は思いも寄らないものだった。
「誕生日なんだ」
「誰の?」
「当然、俺のだ」
「……ええぇっ!?」
つい大きな声を出してしまって、ノエルは咄嗟に自分の口を塞いだ。
「何で先に言わないんだよ!」
ノエルは小さな声でキースに抗議した。
誕生日だとわかっていたら、プレゼントのひとつも選んできたというのに。
「別に祝ってほしいとかいう訳じゃない」
「じゃあ、何で…」
「埋め合わせると言っただろう?」
「そりゃ言ったけど」
「ここに来てみたかったんだ、お前と」
キースの声には、どこか哀愁が漂っていた。
ノエルは何とも言えない気分になって、キースを見つめた。
外の景色を眺める赤い瞳が、はっきりと愁いを帯びている。
何かあったのだろうか。
それはもしかして、先月の無断キャンセルと関係あることか?
キースが何か問題を抱えているらしいことはわかっている。自分にできることがあるなら、どんなことでもしてやりたい。
とは言っても、ノエルにはキースが何をしてほしいかなど皆目、見当がつかなかった。
そんなノエルの気持ちを見透かすようにキースが言った。
「何かくれるつもりなら、シャンパンでも開けてくれ」
「あ、いいな、それ」
「無理はしなくていいぞ」
「医者の給料、舐めんなよ」
揶揄うように言うキースに、ノエルは口を尖らせた。
そこへ見計らったようにフロアマネージャーがやって来た。
「本日のメニューでございます」
渡された真っ白な上質紙には、コース料理のメニューがずらりと並んでいた。
「悪いが先に頼んでおいた。嫌いなものやアレルギーはあるか?」
「アレルギーはないけど、パンは嫌いだ」
ノエルが答えると、キースは少し驚いた顔をした。
「パンが嫌いで、どうやって生活してる?」
「ライスが好きなんだよ。あとはヌードル系とかパスタとか」
「…そうか」
キースはフロアマネージャーに向き直った。
「彼にはライスを用意してくれ」
「かしこまりました」
「あ、いや、そこまでしてもらわなくても…」
「嫌いなものを無理に食べる必要はない」
「でも」
言いかけたノエルにキースが言葉を被せた。
「素直に甘えておけ。せっかくのディナーだ。お互い楽しめないと損だろう」
「……わかった。ありがとう」
確かに埋め合わせすると言ったが、これでは完全にノエルがもてなされる側だ。これでいいのかと疑問に思うが、口に出すのは無粋だろう。
ノエルが了承したので、料理の注文はこれで終わりだ。
その後、やって来たソムリエにノエルはワインリストを見せてもらった。が、名前と種類しか書かれていないものから選ぶのはノエルには難度が高すぎた。
仕方なくソムリエに相談して、お勧めのものを出してもらう。
運ばれてきたのは、透明なボトルが印象的なヴィンテージワインだった。
中の煌めくシャンパンゴールドがそのままボトルになったような、見目からして華麗で優美なワインだ。
ソムリエがそれを少し大きめのフルートグラスに注ぐと、しゅわっと音を立てて、きめの細かい泡が真っ直ぐに立ち昇る。
フローラルかつ、柑橘やナッツにも似た芳醇な香りがふわりと広がった。
キースとノエルはグラスの脚を持ち、軽く掲げて乾杯した。
口にすると蜂蜜のような濃厚さがあり、果実感のある仄かな酸味と力強い味わいを楽しめた。
見た目、香り、味と三拍子揃った、まさに記念日に相応しいワインだ。
「……素晴らしい」
キースも感嘆するほどで、ノエルも嬉しくなる。
ここで、ふっとノエルに疑問が浮かんだ。
「そういや、お前、幾つになったんだ?」
「二十七だ」
「えっ、俺より年下!?」
思わず本音が洩れた。
「あ、いや、その」
「別に構わない。俺の仕事は、若く見られると舐められるからな」
「そういうもんか」
エリートでやり手実業家のキースにも、そこには色々と苦労があるようだ。
「お前の方が三十には見えないな」
「どういう意味だよ!? ってか何で俺の歳、知ってんだ!?」
「自分に近づいてくる人間のことくらい調べてる」
キースは平然と言ってのけた。
そうだ、そういえば、こいつマフィアだったんだ、とノエルは今更に実感する。
普段、キースはそれらしい荒っぽい言動はしない。だから、忘れていた。
「……どこまで調べたんだよ」
「フォルロア出身、十月八日生まれ。家族は両親と妹の三人、フォルロア大医学部を首席で卒業。その後、ラグズシティに移住してきた。ラグズシティ市立病院勤務、院内での渾名はミスター・クール。趣味は読書。過去の交際相手は」
「ストップストップ! それ以上、言うな!」
恐ろしい情報が出てきそうになって、ノエルはキースの口を塞いだ。
一体どうやれば、そこまで調べられるのか。興信所か、探偵か、それともノエルの知らない方法があるのか。
「そこまでするか?」
「どこで撃たれるか分からないからな」
キースは皮肉げに笑った。
「それ、笑えないぞ……」
ノエルはげんなりと言った。
実際、一年前には誰かに撃たれてERに運び込まれたのだから。
「大丈夫だろう。ここに腕のいい医者がいるからな」
「そりゃ、どうも……」
思いも寄らない情報を明かされて脱力しノエルを、キースが可笑しそうに見遣る。
そこからはシャンパンを飲みながら、フォーマルなフルコースを堪能した。
突き出しから始まり、前菜、スープ、魚料理、氷菓、肉料理、デザート、コーヒーと小菓子。
途中、スープのあとにパンとライスが供されたが、そのライスが綺麗な星型に抜かれていたのには驚いた。
「……お子様ランチか」
「違うだろ! どう見ても気遣いだろうが」
「扱いは子供と同じだろう」
「店に失礼だぞ」
そんな遣り取りもあったが、互いにあまり話はしなかった。
それでも、それが居心地良く感じるような穏やかな時間だった。
コーヒーを飲み終わった二人が席を立つ。
ノエルがシャンパンの分だけ携帯で会計をして店を出た。料理自体の支払いはおそらくキースがあとで行うのだろう。
下の階に戻ったノエルがいつもの部屋へ行こうとすると、キースがその腕を掴んだ。
「今日は別の部屋を使う」
「別の部屋?」
「ついてくればわかる」
キースがそう言うので、ノエルは後に続いた。
連れていかれたのは1601号室と反対側の端、以前にエヴァンが泊まっていた部屋だ。
ドアをくぐって、リビングに入った瞬間、ノエルは再び感嘆の声を上げた。
「うわ…」
1601号室とは対称の造りになった部屋は、昼間の景色も素晴らしいが、夜は更に壮麗だった。
ベッドルームとの境目に立つと、レストランと同様に、ベイエリアから中心街まで一続きになった夜景が、まるで溢れるように目に入ってくる。
ありふれた言葉だが、まさに光の洪水だった。
建物から洩れ出る無数の光、街灯、車のヘッドライト、テールランプ、橋梁灯、イルミネーション、遠く海の上には大型フェリーのマスト灯までが見て取れる。
「……気に入ったか?」
子供のように窓に額をくっつけて外を眺めるノエルを、キースが柔らかい眼差しで見ている。
「なあ、何でお前の部屋とは違うんだ?」
「向こうは最初から俺が使うために設計したからな。まあ、防犯上の理由だ」
「確かに、これじゃ外から丸見えだもんな」
「気になるならスクリーンを下ろすが」
「いや、もうちょっと見てる…」
ノエルが窓から離れないので、キースはノエルの上着を脱がせ、自分のそれとベストをクローゼットに掛けておく。
ノエルが楽しんでいるなら何よりだ。
ほぼ一ヶ月ぶりだったが、前に会った時よりもずっとノエルが美しく見えた。
自分の気持ちを認めただけで、こんなにも変わるものか。
キースがソファに座って一息ついていると、やっとノエルが隣にやって来た。
「……あのさ」
「何だ」
ノエルが躊躇いがちに言い淀む。
キースはだが急かすことはせず、ノエルの言葉を待った。
「……俺、今ちょっと腹一杯ですぐ動けそうにないんだけど」
真剣な顔で何を言うかと思えば。
キースは思わず、ふっと口元を綻ばせた。
ノエルはそれを見て、あ、と思った。
あの春の日、ニュータウンで再会した時に見せたのと同じ表情だった。
この笑顔を見たから、自分はキースに惹かれたのだ。
「わかった。そういうことなら何か映画でも観るか」
「映画?」
キースはソファの正面の壁に掛けられた大型テレビをつけた。
スタインホテルは全室、動画配信サービスに接続してあり、好きな映像が好きな時に好きなだけ観られるのだ。
「普段はどんなのを見るんだ?」
「そうだな、普通にアクションとかサスペンス、あとはドキュメンタリーとか、かな」
「なるほど」
キースがテレビのリモコンを操作する。
「なら、サスペンスにするか。適当に決めるぞ」
アクションではムードがないし、ドキュメンタリーでは堅すぎる。
キースが本当に適当に選んだ映画は、ただのサスペンスではなくラブストーリーが織り込まれたものだった。
ある国の軍人が他国の捕虜と打ち解け、彼の死後、彼の恋人に言付けを伝えに行く。軍人とその恋人は急速に惹かれ合うが、相手には驚くべき秘密があり、そこから事件が起きて――。
秘密を知ってなお、相手を真摯に想う軍人に、ノエルは思った以上に感情移入してしまった。何となく自分に重なる部分がある気がして。
横を向くと、キースも何か思うところがあるような顔をしている。
そこでノエルはふと、あることに気づいた。
「そういえば今日、煙草吸ってないな」
言われたキースは急に核心を突かれて驚いた。隠すつもりはないが、何を、どう言うべきか。
少し迷ったが、結局はありのまま伝えた。
「……煙草は止めた」
「マジで? そりゃ医者としては有り難いね。煙草は百害あって一利なしだからな」
そうは言ったものの、ノエルはキースがなぜ禁煙に踏み切ったのか不思議だった。初めてこのホテルに来た日から、キースが煙草を吸っていないところを見たことがない。
「何で禁煙したんだ?」
何気なく発した言葉に、キースは少しだけ傷ついた顔をした。
「……父親が、死んだんだ」
「え…」
「肺がんでな。一昨年、それがわかった時にはもうかなり進行してた。ずっと治療を続けてたが、先月、肺炎を併発して」
ノエルは言葉を失った。
キースがずっと抱えていたのは、そのことだったのか。
「……悪かったな、何の連絡もしないで」
「そんなのいいよ…!」
ノエルの中で鬱屈していた感情は、その言葉で全て飛び去った。
自分の辛さなど、キースの苦しみに比べれば些細なものだ。
市立病院にはホスピス病棟があり、ノエルにとって死に瀕した人とその家族の存在は普通の人よりもずっと身近だ。
だからといって彼らの気持ちがわかるなどと、そんな尊大なことはとても言えない。それでも、想像することはできる。
キースがどんな思いで父親を見守ってきたか、考えただけで胸が詰まった。慰めの言葉など、何ひとつ思いつかない。
だから、ノエルはキースを抱きしめた。
「……辛かったな」
赤い髪に指を通し、ゆっくりと頭を撫でる。
「……頑張ったな。よく耐えたよ」
同時に背中を撫でながら、「辛かったよな、よく頑張ったな」と何度も何度も繰り返す。
しばらくそうしていると、キースの腕がノエルを抱きしめ返した。
そこに、以前のような荒々しさはなかった。
ただただ柔らかく、優しい抱擁だった。
「……泣いてもいいんだぞ」
「……もう、枯れるだけ泣いた」
少しだけ冗談めかした口調。
ノエルの真心が、キースの胸にじんわりと染み渡っていた。
そうか、自分はずっとこんな風に言われたかったのか。
ノエルといると、自分の知らない自分が次々と顔を出す。
それは、決して不快なことではなかった。
キースはノエルの体を自分から離した。
琥珀の瞳が、まるで自分のことのように悲しみを湛えて潤んでいる。
その情の深さが、きっと自分を支えてくれていた。
どちらからともなく、唇を合わせた。
奪うのではなく、与え合うような口づけ。
やがて、そこに仄かな情欲が灯った。
キースの手がノエルの首元のスカーフを抜き取り、シャツのボタンを外す。
ノエルもキースのネクタイピンを外してテーブルに置き、ネクタイを引き抜いた。
互いの服を脱がし合い、全て取り払ってバスルームに入る。
愛しむように繊細な手つきで互いを撫で洗い、タオルで拭いて、二人はベッドへと縺れ込んだ。
「……スクリーン、下ろして」
「このままでいい」
「……外から見える」
ノエルが恥ずかしそうにしているので、キースはベッドから降りて、フロアランプの明かりを消した。
リビングも既に消灯済みだ。
光源を失った真っ暗な部屋に、外から青白い光がほんのりと差し込んでいた。
その中で、一糸纏わぬノエルの肢体だけが、艶めかしく浮かび上がる。
キースは引き寄せられるように、ノエルに覆い被さった。
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