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傷跡 2-8

その日の夜、早々に眠りについた夕人は、夢を見ていた。 気分が悪くなり歩道で倒れかけた夕人は、誰かの腕に抱えられ、車の助手席に乗せられている。 ーーー風間、さん………? 『……相模くん……大丈夫かい………?』 首元と脇に保冷剤が置かれ、冷たい感覚に、夕人は一瞬反応を見せるが、まだ意識はなく深い眠りに落ちているように、静かなままだ。 その様子を確認して、 夕人のシャツの襟下に手がかけられる。 1つ、2つ…とボタンが外される。 『はぁ………相模くん………きみは、本当にいけない子だね………。 こんなになるまで……無理して、だめじゃないか……はぁ……はぁ…』 荒い吐息とともに戸惑いつつ震えた指先が、夕人の頬、首元から、シャツの中……胸元へと滑り込む。 『大丈夫だよ………はぁ…これからは、…僕が一緒にいるからね……はぁ……きみを、守ってあげるから……。 ……相模くん、僕が、ずっとそばにいてあげるからね』 「ーーーーー……っ!!」 夕人は目を覚ました。部屋の中は冷房が付いているはずなのに、身体中汗でぐっしょりと濡れていた。 ーー今の夢は……何だろう。 現実に起きたことなのか、区別がつかなかった。風間に対する不信感が、夕人にこのような夢を見せたのか。 どちらにせよ、夕人にはもう、これから先風間の授業を、平然と受けられる自信は無かった。 『ガチャ……』 リビングには就寝の準備をしている父と母がいた。 「夕人ーー、どうしたの? あなた、何だか、顔色が………」 「父さん、母さん。 相談があるんだーーー………」

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