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傷跡 3-1
1週間後ーーー…
夏休みも終わりに近づき、凄まじかった気温の上昇も少しずつ落ち着いてきて、夕方の日暮れの早さが徐々に夏の終わりを感じさせていた。
「夕人、本当に1人で大丈夫?お母さん、駅までついていこうか?」
授業時間を再編成してもらって初めての通学、母の心配の声に、夕人は首を横に振った。
「大丈夫だよ。この時間駅も塾の周りもたくさん人がいるし……。もし何かあったら、すぐ、電話するから」
あまり使用はしていなかったが、一応携帯電話を持っていた夕人は電源がきちんと入っていることを確かめた。
「そう、わかったわ。気をつけてね」
「うん……あのさ、母さん」
玄関の前で立ち止まった夕人の言葉に、母は不思議に思い見つめる。
「いろいろ、心配かけて、ごめん。
……俺、もう少し自分で何とか出来るように頑張るから。父さんにも、伝えて。
ーーーじゃあ、行ってきます」
『……バタン』
母はこの時、少し、胸騒ぎがした。
なぜこの時、夕人を一人で行かせたのか。
もしすぐにでも、塾を辞めさせていれば……
あんな事は起きなかったのかもしれないのに……
こんなにも後悔をすることになるとは、
その時は、誰にも予測できなかったーーー。
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